劇場公開日 2021年3月26日

「1シーン1シーンが美しい、時間がゆっくり流れるロードムービー」ノマドランド むっ、むいちろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 1シーン1シーンが美しい、時間がゆっくり流れるロードムービー

2025年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

アメリカの真ん中あたりを車で放浪しながら過去と今への向き合いをロードムービー的に見せていきます。ゆっくりとして抑揚はないので最初うとうとしてしまいました。画面の上半分以上は常に空でしかも夕方が多いです。ほぼ夕陽の光は15度未満から差し込んでいています。1シーン1シーンは味わいのある写真のようでそのまま写真展にできるような美しい映像です。出てくる人たちにはみんな哀愁を感じます。そして老齢です。映像の黄昏感がより一層と物悲しさを感じさせます。ぼっーと見るだけでも、ダダ流しにするだけでもBGVとしていけそうです。
ノマドの人々はそれぞれが何か悲しみや喜びや人生のいろいろなものを背負って生きています。家族や故郷という「場所」から離れて放浪しています。苦しみや悲しみから逃げているのかもしれません。自分の「場所」を探しているのかもしれません。お互いに助け合い支え合うのですが深くは入り込みません。それぞれを尊重しますが自分にも立ち入れさせません。とても孤独です。ただ自由です。ほとんどのものから解放されています。あの年齢になるとそういうのもいいと思います。静かに流れていく映画なので意味を理解するのに能動的に意識を働きかける必要がありました。でもぼっーと見るのにもいいと思います。

むっ、むいちろう