「とてもじゃないが、ノマド暮らしはできそうにない」ノマドランド Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもじゃないが、ノマド暮らしはできそうにない
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旅をしながら生活する、なんて聞くと格好良いが、愛する夫が亡くなり、夫の愛する街が国によって閉鎖され、やむを得ずの放浪の旅である。
それも古いバン旅用に改造したものの、新しいバンを買う方が安いくらいの価値しかなく、修理するお金もままならないで妹にお金を借りるほどギリギリの生活。怪我や病気になって働けなくなったら簡単に詰むだろう。
なんといっても排泄物の処理がバケツという時点で、マド暮らしは自分には無理寄りの無理だと痛感した。トイレないのは屋根がないのと同じくらいきつい。
女性監督の映画だからか、女性の一人旅というと無駄なセクシーショットが挟まれたりすル琴も多いのだが、そういったシーンが一切なくて安心する。無理に綺麗に見せようとしない自然そのままのくすんだ空と海が美しい。
主人公のファーンは前向きではコミュ力も高く、どこへいっても他のノマド仲間ともそこそこ上手くやれている。60過ぎて体力的にきついだろうアマゾン倉庫の仕事も懸命にこなしている。妹やノマド仲間など、彼女を気にかけてくれる人も多い。
ファーンに好意を抱いているノマド仲間の男性も、息子夫婦の家で孫の世話をしながら、一緒に住まないかと誘ってくれる。息子夫婦も了承済みでいい人達のようだ。ここに留まったら屋根のある生活が出来るし病気や怪我したときに頼れる人も居る。それでもここは自分の場所ではないとファーンはまた旅立つ。
かつて夫と暮らしたフェンスで閉ざされほこりまみれになった砂漠の家を眺める。
もう帰る家が亡いことを再認識し、彼女はまた旅に出るのだ。
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