「家を持たず車で生活する人々を遊牧民(ノマド)ととらえて描いた作品。観る人によって、感じ取るものに違いが出る作品なのかなという気がします。」ノマドランド もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
家を持たず車で生活する人々を遊牧民(ノマド)ととらえて描いた作品。観る人によって、感じ取るものに違いが出る作品なのかなという気がします。
ノマド。遊牧民。
現実の生活とはかけ離れた世界。
だからなのか、その言葉を聞くと、
胸の内に憧れにも似た想いが
沸き起こるような、そんな気がします。
そんな自由な生活を送る人々の話なのだろうか と
勝手に想像し鑑賞してきました。
で
想像していたのとは、ちょっと いや
だいぶ違ったような気がします。
◇
主人公の女性、名前はファーン。
年齢不明。 (老齢の入口に差しかかったくらい? たぶん)
夫と暮らしてきたが、働いていた工場が閉鎖 …。
住んでいた家も立ち退かざるをえず
車上生活者となります。
この作品では、
彼女の車上生活者としての生活が
淡々と描かれていきます。
同じ生活スタイルの仲間たちとの接点も
描かれなくはないのですが
人生の重大事と呼べるようなイベントは起きません。
人生の終盤に差しかかった主人公を描いた
ロードムービー。
そんな作品に感じました。
◇
昔教え子だった少女に
今はホームレスなのかと訊かれた主人公。
彼女はこう答えます。
「ホームレスではない。 ハウスレスなの。」
定住する家。 それは、無い。
共に暮らす者。 それも居ない。
家は無くとも、帰る場所はある。
彼女は、そう相手に伝える。
それは、
自分自身にも言い聞かせている言葉なのかも
そんな風にも聞こえました。
この作品に登場する人たちは
ほぼ全て高齢の人たちです。
アメリカという国のある一面を描いた作品
そんな印象も受けました。
◇
人によって
受け止め方や感じ方作品の評価など
全てに差が出そうな作品なのかもしれないと
そう感じます。
人生これから上り坂の人と
折り返し地点を過ぎた人 (私はこっち☆)
この作品に共感できるのは
おそらく後者なのだろうと思います。
観てすっきりするタイプの作品では無いですが
色々と考えるきっかけにはなるかも
そんな作品でした。
◇あれこれ
ノマド生活の彼らは、 「さよなら」 を口にしません。
皆の元から立ち去る時に口にするのはこの言葉。
「また会いましょう」
これにはとても共感。
再会の見込みがなくとも 「またね」 がいいですね。
もう一つ
仲間の一人が病のために命を亡くし
それを知った皆が、焚き火の中に石を投げ入れる場面
生前の約束を果たす訳ですが
ここも心に残りました。
◇最後に
車が壊れたら、
彼らはどう生活していくのだろう などと
そんなことも考えていました。
動かなくなった車の上で踊るのかしらん なんて
⇒ それはラ・○・ランド…(汗)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
はじめまして。もりのいぶきさん。
みかずきです。
私のレビューに共感して頂きありがとうございます。
フォローありがとうございます。
こちらのサイトには先月登録したばかりです。
宜しくお願いします。
過酷な環境のなかで、人生の喜怒哀楽、醍醐味を感じながら、懸命に真摯にいきていく主人公の姿が美しかったです。
物質的な豊かさはなくても、アメリカの圧倒的な大自然に抱かれている主人公の姿に生きることの原点を感じました。
では、また共感作で交流させて下さい。
そうか、考えるきっかけを与える映画であって、ストーリーがつまんないとかオチは何?とか評価する作品ではないですね。
私ももうちょっと寛容に受け止めたいと反省しました。