「羊がいれば」ノマドランド ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
羊がいれば
ノマドとは遊牧民を意味するそうだ。でも、この映画に出てくる人々は、別に生き物を育てているわけではなく、定住してないだけ。個人的にはこの生活を遊牧民のように言うのは、なんか違うなと思う。羊連れてればいいけどね(笑)。しかし、こんなに厳しい生活している人が多いのか、アメリカ。アメリカン・ドリームって、いつのこと?
食べるシーンがよくある。だけど、食事を楽しんでいる感じがあまりしない。限りのある調理道具で缶詰を温めたり、栄養のバランス悪そうであまり健康的ではない。労働で疲れた体に、エネルギーを補給するために食べてるみたい。
なので、デイブの息子の家で出される料理を真っ当な食事だと思いつつ、ファーンの身になると、自分まで気がひけてしまった。デイブは息子と距離があるように言っていたけど、並んでピアノを弾いたり、すごく仲良さそう。嫁も優しいし、孫をあやしたりする生活に満足している。その上、妻(だか彼女だか)まで欲しがるとは、欲張りじゃないだろうか。しょせん彼のノマド生活は、かりそめの姿だったわけだ。
ファーンは、家を捨て、思い出の品々を捨て、自分1人で生きている。いつか限界は来るだろうけど、それでも自力でやっていける限り、続けていくのだろう。今は昔の写真もお皿も持っているが、そのうちこれらも捨てる日が来るような気がする。
スワンキーが、今まで見た美しいものを語る時、自然の風景のことしか言わないのが気になった。家族や友達など、人間との情愛や触れ合いはどうだったんだろう? ないわけないけど、いろいろあって、人間から距離をとっているのかな。なにげに共感できる自分がやばいかも。
現代社会で貨幣も使わず、エネルギーも使わず、通信も使わずに生きていくのは不可能。特にガソリンを切らしたら死ぬので、そのために働くというのが本末転倒な感じ。太陽光パネルと通信機器搭載のキャンピングカーがあれば、ガソリンを買わなくてもいいなぁ。でも、その車自体が高いか。
映画見た後、資本主義経済について考えていたら、牛で例える話を思い出した。「君は2頭の牛を持っている」 資本主義なら雌牛1頭売って、雄牛を買って増やすのが定石。でも、全ての人がこの通りにできるわけじゃない。増やすどころか減らす人もいるし、たくさん持つ人とそうじゃない人の差は広がる。牛は例えだけど、資本主義もそろそろ行き詰まってる感じだし、近い将来新しい形ができるような予感がする。せめて年取ったら安心して暮らせる世の中であって欲しい。
ほんとにこの映画にはかなり考えさせられた。私も10年後くらいにはこんな風になっているかも。年金支給は延ばされ、バイトで食いつなぐとか。キャンピングカーでは暮らせないけど、プランターで野菜を作るとか、工夫して生きていかなきゃなー。
ぷにゃぷにゃさん、ライブフレッシュにコメントありがとうございます!ハピ?知らないー!でも、キャストを見たらハピは知りませんでしたが、ペネロペとか「家に帰ろう」に出てたスペインの宿屋の女主人役の女優さんも出てた映画であること確認!監督もあの…名前出てきませんが、好きな監督です!ぷにゃぷにゃさん、詳しいですね💕
デイブ、甘いですよねー。そのこと、ファーンはわかってたと思います。
資本主義が彼らをそのような生活に追い込み、これまた資本主義の中でのノマド生活なんだから、諸手を挙げて素敵!なんて言えません。貨幣も石油もプラスチックも使わない、純なノマドはいつか可能になるのかなあ?