「タイトルなし(ネタバレ)」ノマドランド panpan00さんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
アメリカの大自然が写り、美しい映像が多いと思った。
主演女優 フランシス・マクドーマンドの演技力が高い。衣装もリアルだからまるでドキュメンタリーを観ているようだった。
とは言え、私はこの映画を通じて心を揺さぶられることは無かった。多分、その理由はアメリカの社会問題が理解出来ていないからだ。アメリカでは格差社会が進んでいると聞くが、この映画は格差社会を否定するものでは無いと思った。お金を稼ぐことは悪いことでは無いが、それだけが全てではないのでは?というような視野拡大と言うか、問題提議と言うか、多様な価値観の肯定と感じた。wikiを見ると『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』が原作だと言うので、主に高齢者の格差問題がテーマかと思う。
主人公ファーンはノマド生活を送っている。ノマドとは、家を持たずキャンピングカーなどの大きめの車で生活をする人たちのことを指す。女優の年齢は60代。本作では高齢になる女性のノマド生活が描かれる。
ファーンには夫がいたが死別している。彼女が住んでいたネバダ州のエンパイアという町は、たしか炭鉱で栄えた町であったがそれが閉鎖されるとゴーストタウンとなった。
ファーンは夫との思い出があるエンパイアや家からは離れたくないと考えている。なぜ家に住まないのかは不明だが、多分町に人が居なく仕事が無いので、仕事を求めて移動生活してるのだろう。
ファーン以外にもノマド生活を送っている人は沢山いる。中にはガンの高齢者もいて、彼女は余命7-8ヶ月の中、故郷に帰り亡くなった。他にはたしか10代で出産し2人の子供を育てたのに、政府はたった5500ドルの年金しか払わないと愚痴る。5500ドルでは生活出来ないそうだ。
ファーンはノマド生活で仕事を求めて移動する。仕事がある時は駐車場に無料で車を停めれるが、仕事の契約が切れると駐車料金が発生するから、移動しなければいけない。
あれだけ広大な土地があるのに、町の駐車場にはなかなか車を停めれなそうだ。
ファーンの労働先としては、Amazonの梱包作業、飲食店の店舗スタッフ、トイレ掃除、キャンプ場のスタッフなど。どれも短期的な労働だ。
序盤にAmazonで働いて、また後半にAmazonに帰って来ていた。格差の対比としてAmazonなのかと思った。
映画は淡々と進んでいくが、大きな盛り上がりを見せることなく終わるので、この評価。
印象的だったことを上げる。
ファーンは臨時教師をしていた過去があるが、かつての生徒からホームレスなの?と聞かれると、いいえ、ハウスレスよと答えたとこ。
蛾が沢山飛んでいるとこ。昆虫が苦手な女性には難しいだろう。
ガンの女性から送られてきた動画で、鳥が沢山飛んでいるとこ。
ノマドの男性から交際を求められたのに拒否したとこ、経済的には協力して共同生活をした方が貧困から脱却できるのに。男性には息子夫婦が暮らす家があり、そこで安定した生活が送れそうだったのに。
男性に割られた皿を捨てずに修復したとこ。たしか夫から貰った皿だから大切なんだろう。
キャンプ場で客から電気が点かないと言われたファーンが配電盤みたいなのを操作して復旧したとこ。俺には無理。
大自然。
空き家。靴文化。玄関を開けると落ち葉が床に落ちている。安い作り。
高速道路のパーキングエリアみたいな所で車を停めていたら、車中泊禁止とスタッフに指摘されるとこ。厳しい。
ファーンの姉は幸せそうに暮らしている。
Amazonの配送スタッフが割と沢山いたところ。もっと無人化が進んでいるのかと思っていたが、やっぱり梱包の自動化は難しいようだ。
ファーンがウンコするシーン。演技とはいえ。
ファーンが裸で池に浮かぶとこ。
ノマド男性の家に行ったらたくさん鳥を買ってるんだけど、普通に食べてたとこ。