劇場公開日 2021年9月17日

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「アイダの表情は人生の全ての局面を表してた」アイダよ、何処へ? talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アイダの表情は人生の全ての局面を表してた

2021年10月15日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

アイダが通訳として働いている役なのでこの映画を見ようと思った。ただ背景も経緯もまるで分かっていなかったので怯んでました。ても見て良かったです。あらかじめ少しだけ調べておいて良かった。

宗教的にはまさに「賢者ナータン」の地域が死の商人(国)に煽られた紛争なんだろうと思った。ベルリンの壁は崩壊し冷戦終わってしまったから自分に火の粉はかからないよう、どこかに紛争の種を蒔くか見つけて一儲けしないと!国連が頼りにならないのもある意味そうだろうなと思いつつ愕然とした。ヨーロッパの中心から近い場所なのに、マスコミは御用マスコミなのか、関心ないのか、しきられていたのか?

国連があんなだから国連で通訳しているアイダが自分の家族のためにどうにかしようと動くのは私は当然で全くもってあり得ると思った。それが自然で普通ではないかと思う。国連のオランダ軍トップも自分は責任者でないと言っていた。まして通訳は!ある時は重宝がられるが、ある時は通訳だけしてりゃいいんだ、お前の意見も考えも関係ない、言うな!の世界だから。

日本人は命がけで家族を守るどころか常日頃から家族関係が希薄なように思う。限られた数でしかない私の外国の友達の話に過ぎないが、アジアであれヨーロッパであれ彼らは何歳になってもパートナー、親やきょうだい、自分の子どもや孫を大事にしてそれを言葉や行動で伝えている。離れていてもマメに連絡している、電話でWhatAppでスカイプでZoomでメールで。だからアイダのとった行動はよくわかる。

ジェノサイドへの道はナチスと同様の移動でかなりショックを受けた。

破水していきなり出産の女性を励まし新生児の声を聞くアイダの嬉しい顔、教師の仕事が一番好きと言ったアイダの笑顔、息子自慢の幸福な表情、優しい夫への愛、セルビア側の青年が「先生!」って声かけてくれる元教え子、家族写真をいとおしく眺める顔、息子の靴を見て泣くアイダ。彼らになんの罪も咎もない。紛争を金儲けにする人達こそどうにかしてほしい。

こういう映画を制作した監督、出演した俳優達、全てが素晴らしいと思いました。この映画制作にドイツ、フランス、ポーランド、オランダが協力したことをエンディングロールで見てそれだけでも嬉しいと思った。

talisman
Mさんのコメント
2023年12月19日

NOBUさんへ
「大虐殺の事実を認めない人が居る」んですね。

M
NOBUさんのコメント
2021年11月7日

おはようございます。
 私は、この映画を観るまで、この大虐殺の事実を知りませんでした。彼の紛争絡みの映画はクロアチア紛争を描いた「灼熱」を含め、数作観ていましたが・・。
 ”こういう映画を制作した監督、出演した俳優達、全てが素晴らしいと思いました。この映画制作にドイツ、フランス、ポーランド、オランダが協力したこと・・”仰る通りですね。映画だけは、民族の壁を越えて欲しいモノです。
 只、資料を見ると、ムラディッチ将軍を演じた俳優さん(アイダを演じた女優さんの旦那さん!)が、この映画に出演してから、母国で大きな政治的圧力を受けている事実や、セルビア人のなかには、大虐殺の事実を認めない人が居るという事に、暗澹たる気持ちになりました。では。

NOBU