「オン・ザ・リスト」アイダよ、何処へ? Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
オン・ザ・リスト
「私たちはリストに載っている」。そう必死に主張するアイダの姿に尽きる映画だった。
まさか身内贔屓(ひいき)がテーマとは。
あらかじめネットで簡単に調べたが、詳しい予備知識は必要なかった。
難民、国連軍、セルビア人の三者を描くためには、アイダ(と夫)は絶好の立場にいる。
しかし、彼女の立場を通して、戦場の混乱と悲劇の「現代史」を描き出すというよりは、その“特権的立場”を使って、もがく女性の「個人的なストーリー」にすぎなかったのは残念だ。
ただ、センシティブなテーマゆえに映画で描けないことがあり、また、監督のインタビューを見ると各方面からの協力も得られなかったらしく、いろいろと制作には制約が多かったのだろう。
だから、個人的な範囲内にストーリーを収めざるをえなかったのかもしれない。
セルビアに騙される難民、無力な国連軍、弱腰なNATO。
“再現ドキュメンタリー”と言っても良いリアリティは、素晴らしかった。
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