「何に加担しているのか、何に加勢できるのか」国境の夜想曲 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
何に加担しているのか、何に加勢できるのか
本来ならFertile 豊穣な土地が荒涼として暗く痛く不気味ですらある。
エンドロールで確認する、レバノン、イラク、シリア、クルディスタン、、豊穣な土地が、戦争と殺戮と恥辱と貧困と、あらゆる苦難の土地に、[国]になったのか。
終始無言に、しかし美しく暗い闇の時代を生きる土地が、川が、空が、人々が、映し出される。静寂。音楽は精神科病院の芝居のシーンのみ。
音楽やナレーションや説明に感情を揺すぶられたり流されることはない、ひたすら見ている者を突き落とすような、または記憶をたどりこれは何なのか、手がかりを自分へもっているのかを必死に思い出そうとするしかない、美しい映像、冷たいが人間の眼差しをもって突き刺してくる映像。そして何も知らない、無知なる自分を恥じるしかない。事象として、知識として知っていたとしてもなんの役に立つものか、、
自分は一体何ね加担しているのかいないのか、そして、何かに加担できるのかできることはないのか、
脆弱、暗闇、夜想の中でそのことばかり。
それでもアリは母たちは兵士たちは子どもたちは病院の医師も患者たちも街を行き交う人もキャンプの人も生きて行く。視界には遠く小さくてもキラキラと光があるから。
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