「矛盾の中で生きる女性像」ミス・マルクス コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
矛盾の中で生きる女性像
ぶっ飛んだ作品で、好みは分かれると思うが、私はそこそこ楽しめました。
油断すると、演説が始まります。
忘れた頃にパンクを歌い出します。
主人公エリノアの父、カール・マルクスの『資本論』は、大資本を持つ側に、弱き持たざる者たちが搾取され虐げられる資本主義の構造を指摘するもの。
民主主義制度下の、平等と権利獲得を目指す社会主義的な、革命闘争だったわけですが。
(マルクスの社会民主主義が共産主義へと変質する前は、牧歌的かつ家族重視の在り方だったという側面も見せつつ)
娘のエリノアも子どもや女性の権利を社会に認めさせる活動家だった反面。
自らダメンズな浪費家、浮気者のエドワードに愛を搾取されていくことを選ぶ。
矛盾した自らの感情の狭間で、どんどん病んでいく。
その圧迫を表現するのが演説とパンクという、実に独特な描き方でして。
エレノアが心の奥底で望んでいたのは「家族」だったが、尽くす恋で「叶わない幻想を追う快感に酔ったのかも」と言いたかったように思ったりもして。
平等を求めながら「女」として生きたのだなと。
それにしても、物語に登場する社会主義者ってだいたい口のたつ理想主義者のくせに、退廃的なロクデナシばっかりだよねw
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