「女性として生きるということ」ミス・マルクス ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
女性として生きるということ
主人公は、資本論を書いたカール・マルクスの末娘のエリノア・マルクスで、通称はトゥッシーです。
ミス・マルクスという題名は、エリノア・マルクスが結婚せず、内縁関係のままで、自殺ということを表しています。
エリノア・マルクスは、才女だったようですが、自信過剰によりエドワードのような男性との関係を断ち切ることができなかったのではと感じました。
世界史や経済史に興味のあり、カール・マルクスを知っている女性にはお勧めできる映画です。
映画「マルクス・エンゲルス」の続編のような映画だから、映画「マルクス・エンゲルス」を鑑賞した人にもお勧めです。
登場人物は、知っていることが前提で、物語が進みます。
パンフレットには、登場人物について、詳しく書かれているので、パンフレットを購入し、読んでから、鑑賞することをお勧めします。
カール・マルクスの妻であるイェニー・マルクスは、カール・マルクスが亡くなる2年前に、亡くなっています。
長女のジェニーは、フランス人と結婚し、フランスに住んでいますが、カール・マルクスが亡くなる数か月前に、亡くなっていて、ジョニーという息子がいます。
次女のラウラは、フランス人と結婚し、フランスに住んでいて、幸せに過ごしています。
英国のロンドンに住んでいるカール・マルクスの世話をするのは、末娘のエリノア・マルクスだけということになります。
物語は、カール・マルクスが亡くなり、カール・マルクスの葬式から始まります。
エリノア・マルクスは、25歳です。
物語は、時系列に沿って進みますが、所々で、カール・マルクスが生きてた頃で、エリノア・マルクスが少女時代の話が挿入されます。
女性にとって、家族とはという何かというテーマが描かれています。
家族は女性を束縛するものなのか、守るものなのか?
女性は、男性と平等であるべきですが、平等であることで解決されるのか?
日本では、男女雇用機会均等法が1986年施行され、35年が経過しました。
男女雇用機会均等法が、日本の女性を幸福にしたのか、不幸にしたのか、
検証するべき時です。
2021年の男女平等ランキングでは、日本は153ヶ国中、第120位です。
韓国は第102位で、中国は第107位で、日本は韓国や中国以下です。
日本に住んでいる井の中の女性は、このことをどう感じているのでしょうか?
男性は働かざる得ませんが、望んで働いている人は少数派なのではないのでしょうか?
家計を管理できる専業主婦になることを望んでいる女性は、20%程度いるそうです。
労働により成果を生み出す人は貧しく、人を使うだけで成果を生み出さない人間が富を得る搾取構造は、今も変わりません。
政治家、官僚、社長、役員や中間管理職は、人を使うだけで成果を生み出さない人間で、富を得ています。
150年以上もの年月が経過していますが、「前へ」進んでいない感じがします。
だからこそ、この映画を鑑賞する価値があります。
「インターナショナル」という歌が、現代風にアレンジされて、象徴的に使用されています。
「インターナショナル」は、1871年、パリ・コミューンに参加していたウジェーヌ・ポティエが作詞し、英国に亡命し、発表されました。