「選挙には行った方が良い」ニューオーダー kwmdさんの映画レビュー(感想・評価)
選挙には行った方が良い
緑色が強いポスターで、ホラーと書いてあったので、『スピーシーズン種の起源』みたいな、謎の生物に襲われて緑の体液が出てくるやつを想像してましたが違いました。
メキシコ(?)の上級国民が酷い目に遭う話でした。
日本では大規模な反政府でもはないし、災害に乗じた大規模な略奪はない、軍事クーデターは100年前の話しです。日本人の多くは暴力と無縁の塀の内側にいると思っているはずです。本作を見ている間中、日本でも数年のうちにこんなことが起こる可能性を想像して怖かったです。
過去60年間政権交代が有ったのは6年間らしいです。毎週のように政権与党のスキャンダルが発覚していますが、かつてのように報道されません。30年間所得は増えず、年金の給付は削られ、物価は急激に上昇し、投資に対する優遇策が作られようとしています。経済問題だけでも酷いのに、直近の選挙では与党の優勢が伝えられています。その上、言論や表現の自由を縮小する立法が検討され、基本的人権を制限する憲法改正を謳う政党が沢山あります。
さらに、排外主義的で、より経済的な立場の弱い人々を攻撃する政策を掲げる、新興政党が複数現れていますが、彼らは直ぐには政権を取れそうにはありません。また、宗教的思想を背景に持つ勢力もいます。
国内の紛争映画はかつても沢山ありましたが、中南米やアフリカや東南アジアなどの開発途上国が舞台で、他人事でした。
今日の日本はすでに、先進国とは言えない経済状況ですよね。武器はどうするかと言えば、みんなの嫌いなあの国が工場を作ってくれますよ。『The MOLE』見ませんでしたか?
そんな妄想をしながら鑑賞したので、結構怖かったです。エンドロールが全く無音になるんですよ、観客も無言で席をたたない。上映後に劇場の扉の外から銃を持ったゲリラが登場するサプライズでもあるのかと思いました。
選挙権があるうちに、選挙は行っておいた方がよさそうです。この映画も上映できなくなりますよ。