「いくつもの眼差し」ボヤンシー 眼差しの向こうに MARさんの映画レビュー(感想・評価)
いくつもの眼差し
貧困家庭に生まれ、学校にも行けず父親から働かされている14歳の少年チャクラが、自分で稼ぐため家を出ていくことから巻き起こる物語。
聞いていた話とは違い、漁船に乗せられたチャクラ達。そこで、暴力的な船長達から奴隷として扱われ、歯向かうものはそれこそ魚のエサのように海に捨てられる。
当然給与などもらえるわけもなく、来る日も来る日も狭い船上で重労働を強いられるチャクラ達。。
目覆いたくなるような描写の連続だが、その中で逞しく生きるチャクラの姿。
彼の決意が行動となって表れた時の眼差しは、とても14歳には思えない。
映画としては、粗ずっと狭い漁船の中での出来事を延々と観ているのにも関わらず、全く飽きることがないし、悪役の役者さん、何より主人公のひとつひとつの表情づくりがとても素晴らしかった。
船上とは違い、荷台のシーンで人の優しさに触れた時のチャクラは、まごうことなき14歳の男の子の顔をしていた。
ラストシーンも特筆モノ。
実際に、このような環境下にいる人が世界には大勢いるということに改めて気づかされるとともに、平和な境遇にいられることに感謝する作品だった。
もっとたくさんの劇場で公開されてほしい。
そして関係ないけど、主人公の役者さん、誰かに似ているなと思ったら、元K-1並びにS‐cup王者のブアカーオによく似ていると思った。
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