「斬新かつユニークな「死」へのアプローチ」名も無い日 Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新かつユニークな「死」へのアプローチ
日比遊一監督と岡崎紗絵の舞台挨拶付き先行試写会にて。
一見、硬派な人間ドラマだが中身はかなり斬新でユニークなアプローチをする変わった映画だ。基本的には普通のヒューマンドラマとして展開していくのだが、油断した隙にどこかカルト映画味を感じるホラー演出が展開されたりする。作風自体は「普通の映画」で、これは変な映画ですよ、というアプローチが無いので更に演出が際立つというか。
監督は舞台挨拶で「映画とは作り手が一方的に伝えるものでは無く、作り手と観客の対話だと思ってる。」と言っていた。
実際、その通りに作られていて、状況の説明が一切無く、断片的に語られる情報から自分で考えなければいけない。その過不足があるからこそ、ミステリーやスリラー要素も組み合わさってくる。何一つ確かな事が分からない状況で、「何故、弟は孤独死したのか」という問に永瀬正敏の表情と共に考えさせられる。
観客に考えさせるという問題提起の仕方が上手だな、と素直に思った。
突然、大雨降ったり飛行機の音でかき消されり、といった不自然な要素が目立つけど、これは名古屋に住んでれば実際に起こってること。急に雨が降って30分後ぐらいには雲一つない青空、だったり、県営名古屋空港がある関係で飛行機が低空でバンバン飛んでます。自衛隊のジェット機が通るとめちゃくちゃうるさいです。そんな不自然な要素を演出に取り入れるセンスはやはり風変わりだ。
観なくても損はしないけど、観て損もしない。でも「そう言えばあんな映画あったなー」と思える作品です。
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