アジアの天使のレビュー・感想・評価
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市民レベルなら仲良くできるはず
石井監督は最近作の「茜色に〜」の印象が強くて本作はどんなか?と思ってたら意外にもエンタメ系作品でした。
ロードムービーっぽく、笑いも散りばめられ、アクセントがついた観やすいエンタメ作品になっていると思います。あのオダギリさんが良いのですなー。軽薄な役、いけるじゃん(笑)いや、先入観や様々なものに縛られない人ですね。心が自由。彼が本作の廻し役であり、キーマンだと思います。見た目軽いけど、行動や言動にはっとさせられます。
韓国、日本双方の国民が互いの国への印象は約60%嫌いだそうです。セリフで語られてました。過去の歴史からも、昨今の政情をみても、それはそうなのかもしれません。報道はネガティヴな内容ばかり。ポジティブは芸能界の話だけみたい。そんなマスコミの偏りも関係あるかもしれません。ですが、きっと我々は知ろうとしてないだけなんでしょうね。
本作はそんな知ろうとしない人達が多いだろう両国に対して、少なくとも人間同士、腹減ったら同じテーブル囲んで飯を食べよう!ビールを飲もう!まずはそこから始めてみない?って訴えてるみたい。
国が違おうが、使う言葉が通じなかろうが、生きてりゃ辛いことある。話してみたら、共感することもあるはず。嫌なとこも、いいところもあるはず。だから、イメージで毛嫌いなんかせずに歩みよらない?って。
なーんて。
考えすぎかな?
良作です、楽しめますよ。
メクチュセヨとサランヘヨ、この二つを知っていれば、この国ではやっていける。
いがみ合う国民同士でも、言葉をしゃべれなくても、韓国では、ビールと愛だけでいけると、兄は言う。そんなわけあるかいな。兄特有の処世術、その優しさは自分で痛い目にあっても気付かないのかい?そのお気楽さをオダギリジョーが言うからまだ許せるのであって、たいてい、ぶん殴ってやりたくなる。すべてを捨てて韓国にやってきた弟としてはなおさらだ。てか、リサーチ不足の弟も弟だよな。
で、この兄弟、言い方を変えればただ惚れっぽいだけにしか思えない。そんな、美人で歌が上手いだけで始終不貞腐れっ面の女のどこが天使なんだ?言葉が通じず、片言同士の英語で意思疎通する初々しさは感じるも、肝心な感情の機微の部分が伝わらない相手とうまくやっていけるの?と心配になる。泣き顔にほだされて浮かれているな、随分と浅はかだ、としか感じなかった。
あ、ラスト、でたねファンタジー。あれはあれでいいじゃない?それが現実かどうかは別にどうでもよくて、人間、すがれる何かを持っているのは、人生強く生きていけるから。
最後、とんでもない飛び道具出てきます…
韓国を舞台に、オダギリジョーと池松壮亮演じる日本人兄弟と韓国人兄妹の交流を描いたロードムービー。
皆、揃いも揃って〝金なし〟〝夢なし〟の、社会の底辺を生きている。
旅の中で修復されていく兄弟の絆や、言葉の壁を超えて関係が築かれていく様は、韓国の田舎町の情景と合わさって非常にエモい。
エモいまま終わってくれれば良かったのに…
タイトルにもある〝天使〟だけど、ホンマに出て来てどうするん?笑
しかも、ハッキリ見える姿で!それも、芹澤興人というトマホーク級の飛び道具で!?笑
『くれなずめ』でも、こんな仰天展開だったけど、最近この手の壊し方が流行ってんの?
くれなずめは、序盤からまあまあ笑かし入ってたけど、今作は最後の最後まで結構シリアスな展開だったんで、そのギャップたるや…苦笑
剛やソルには見える天使の存在が、物語の中で何の役割を持っていたのか?そこが、イマイチ分からず…
これは、どう解釈すればいいのだろう…汗💦
なんかよくわかんない感情も“サランヘヨ〜”
なんか気になる、なんとも言えない感情も“愛してる”に変わる可能性が沢山ある。
資本主義社会の搾取に対する皮肉や固定観念を捨てろというメッセージ性を感じた。
やたら色んなところで出会うし、「アジア人のおじさん天使を見た」「母と妻を胃がんで亡くす」という共通点から運命を感じずにはいられない2人。
ソルへの海辺での告白が「お前嘘つけ〜」っていうセリフじゃなくって本音なのが良かった。“サランヘヨ”になるかわかんないけど、そんな感情。多くの恋がそうなんだよね。
韓国語と日本語で会話しあっても全く通じないのにどことなく通じるところにも笑えるし、オダギリジョーのキャラが際立っていてここにも笑えるし、泣けるし、全体的に良かった。でも少し短くても良かったかな。
最後の5人が無言でお腹いっぱい食べるシーン、本当に美味しそうで、韓国料理が恋しくなった。
やっぱり池松壮亮はいい!彼の声がいい!もっと彼の作品が観たい!
日韓も家族は同じ・・☆
「舟を編む」の石井裕也監督の作品とのことで鑑賞。
思っていたものとは、少し違っていたが、それなりに面白かった。
前半は、移動シーンが長くて少し退屈で寝落ちしそうになってしまったが、
中盤から色々なエピソードが登場して面白くなる。
韓国映画は、ほとんど見ないので 韓国の役者さんは誰も知らない。
池松壮亮とオダギリジョーは、安定した演技で楽しませてくれるが、
子役の佐藤凌が、池松壮亮の無口な息子役をすごく良い雰囲気でやっていて
存在感がある。
物語は、淡々と過ぎてゆく。
インパクトのある映画ではないもしれないが、意外と印象に残るような気がした。
ある共通点で縮める人間関係
人と人の距離を縮めるのは共通点の確認だと思っている。趣味や好きな食べ物、異性の好み、出身地や母校、どんなことでも共通点があれば親近感が湧くものだ。
本作では登場する日本人兄弟(とその息子)と韓国人の3兄妹が縮まるのはある共通点があったから。それはちょっと意外なもので、でもとても重要で重い内容のもの。お互い親近感が湧くのもわかる。あの流れはよかった。
他にも池松壮亮が韓国語を理解していない状況で起こるすれ違いは面白いし、オダギリジョー演じる兄貴の軽薄な感じもいい。3兄妹の関係性も悪くない。ラストの食事シーンなんかは韓国映画っぽくて好きだ。
でも、なぜだか物足りなさを感じてしまう。天使のエピソードのせい?どうなったのかハッキリしない結末のせい?よく考えたらロードムービーの構図だからもっと面白くなってもいいはずなのに。全体としての印象はパッとしない。
石井作品の秘密がたくさん詰まっている気がした
例えば我々がニューヨークやロサンゼルスに行ったとして、現地の白人や黒人にいきなり日本語で話しかけるだろうか。たとえ拙くても英語で話しかけるか、英語がまったくできない場合は「日本語わかりますか」くらいは最初に聞くだろう。
ところがソウルや北京に行ったら、現地の韓国人や中国人にいきなり日本語で話しかける人が多いと思う。そういう人は次のように弁解するかもしれない。仕方がないだろう、韓国語も中国語も習っていないし、英語は世界の公用語として習っている訳だからと。しかし韓国や中国に行くのに少しは現地の言葉を覚えるのが筋ではないか。英語が世界の公用語と言うなら、日本語ではなく英語で話しかければいい。
このあたりに世界の中での日本人の立ち位置みたいなものがある。それは植民地根性と無関係ではない。そして当方の中にも、残念ながら同じようなバイアスがある。
冒頭から石井監督の仕掛けを感じた。「大事なのは相互理解だ」と繰り返し言いながら、ソウルの赤の他人にいきなり日本語で話しかける主人公青木剛。植民地根性と差別意識に満ちた酷い主人公である。一方ではクラクションが鳴り響く町に、ヒステリックで暴力的な韓国人が登場する。主人公も酷いが、ソウルの町も韓国人も酷いと、そう思わせるシーンである。
妻を亡くした後、日本での負債やら人間関係のしがらみやらが溜まってどうしようもなくなったと思われる小説家青木剛。逃げ出した先はいい加減な兄貴が暮らすソウルだ。到着早々韓国の荒っぽい洗礼を受ける。兄弟の再会の場面は腹の探り合いみたいでもあり、無責任な性格の兄弟のやけくその語り合いのようでもある。
韓国には兵役がある。自国のために他国の人間を殺す訓練を受ける訳だ。必然的に国家主義の考え方が植え付けられる。兵役の時間が人生の無駄な時間とならないためだ。最近では女性にも兵役を課そうという動きもある。その一方、儒教の考え方がいまだに残っており、家長といった概念が若者の間でも通用する。そしていまだに男尊女卑だ。しかしそれを変えようという動きもある。失脚してしまったが、前大統領は女性だった。
つまり価値観が大きく変わろうとしているのが韓国の現状で、個人によって人生観や世界観はまったく異なる。家族間、友人間などの中での世界観の対立構造を映画にすれば自然に立体的な作品になる。最近の韓国映画が高く評価されているのはそのためだ。
本作品はそこに日本人も加わり、価値観の錯綜は糸がもつれ合うようだ。この辺りは石井監督の得意技で、登場人物それぞれの価値観の違いを明確に対比させながらストーリーが進んでいく。そこに言語の違いや文化の背景の違いも重なって、人間関係はいよいよ複雑になっていく。整理しきれないまま終わったような部分もある。
その不完全燃焼が、次の尾野真千子主演の映画「茜色に焼かれる」に収斂していった気がする。といっても本作品が助走に当たる作品というのではなく、登場人物の心の揺れ具合が(オダギリジョーの青木(兄)を除いて)そのまま作品の揺れ具合になり、揺れながら互いに理解し合い、触れ合って、離れがたい愛着に至るという、珍しい大団円の作品なのだ。
冒頭のシーンを相互理解からほど遠いイメージにしたのは、相互対立から相互理解に至る道筋を明確に表現するための石井監督の仕掛けだった訳だ。相互理解には共有のイメージが必要になり、石井監督は中年の天使を登場させる。同じ星を見て美しいというよりも、同じ風変わりな天使を見たほうが何倍もインパクトがある。本作品には石井作品の秘密がたくさん詰まっている気がした。
オダギリジョー、池松壮亮、韓国好きには良い映画
私も61%の1人です。
でも韓国映画は好き。
そして、池松壮亮とオダギリジョー。
天使と運命の人とか、寒い内容なのですが、池松壮亮はもちろん、オダギリジョーの演技で面白くなってます。
また、所々にいい加減さとコメディ要素があってクスッと何度も笑えました。
韓国人はきらいなのですが、韓国は好き。ノスタルジックで、アジアの雰囲気。裏路地とか市場とか、映像だけでワクワクします。
いつも強い口調の韓国人と、いつもヘラヘラしている日本人の、それぞれ悪いところがありつつ、、、中身は同じでみんないい人たちだね。
大切なのは相互理解だね。
天使とかちょっと引いてしまう失笑部分もあります。あとヒロインがちょうどいい〇〇なところもどうかと思いながら見ていましたが。納得。
茜、、の夕日は酷かったけど、今度の朝日は良いね。
池松壮亮、オダギリジョー、韓国好きは十分楽しめるかと。
【先入観】
天使は、背中の肩甲骨のところから羽が生えた白人の裸の男の子って、いつ、誰が決めたんだろう。
きっと、ルネサンスの画家が何かのきっかけで描き始めたのが、いつの間にか、人気が出てしまったってのが理由じゃないかと思う。
ルネサンス初期の、フラ・アンジェリーコの「受胎告知」で、マリアに懐妊を告げる天使は、服を纏った大人の女性で、羽はカラフルだ。ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」の天使は男だけど大人だ。モン・サン・ミシェルの大天使ミカエルも大人の男性だ。悩む。
妖精にも小さい緑の叔父さんがいるって話はよく耳にするので、本当はなんでも良いのかもしれない。
妖精は、キラキラした女性か女の子のイメージだ。
それに、昔、アフリカの何処ぞの国の人が、キリストは黒人だったと言っているのをテレビで見て、なるほど、それもありだなと考えたことも思い出した。
先入観って、本当に面白い。
よくよく身の回りを観察してみたら、先入観が先行してて、本当はそんなことないってことがあちこちに転がってそうな気がする。
お隣の国のことだったら尚更かもしれない。
違いを見つけて、うちが上だとか、こっちが優れているみたいな感じでやっていくより、お互いに似たようなところを見出してやっていく方が建設的かもしれない。
まあ、あくまでも映画の話だけれど、日韓のアイドルの置かれた状況は似ている気がするし、賞味期限が迫った焦燥感はきっと同じだ。
家族にアイドルや有名人がいたら、自慢したくなるのも一緒だ。
ビール飲みたいと、愛してるは、多くの国でキーワードだろう。
それに、世界共通で、子供には優しくしたい。
告白にもじもじする男は、女性に意気地無しと看做されるれるってのも日韓共通のように思う。
やれやれ。
お腹が減ってご飯を食べる時に、会話は不要だ。同じだ。
3日程度のショートトリップでさえ、辛苦を共にしたら、共感が生まれて、お互い感謝しあうのもそうだ。
だから、お互い先入観は横に置いておいて始められたら良いのだ。
因みに、考えてみたら、やっていけそうもないのが、日韓のアホ政治家と、民族主義者の連中というのも同じだ。
ふむふむ。
※ もし見間違えてなければ、あの海辺で目撃されたヒゲのおっさん天使、映画「海辺の金魚」の養護施設のお兄さんだったな。皆んなに慕われてて、天使だった。アジアの天使だ。
短絡、曖昧、無理解…そこから共通認識を─
想像以上にステレオタイプな表現が満載で、予想通り淡々とした作品だったけれど、期待以上に笑えて、じんわりと来ました。
あらゆるものが敢えて対比的に描かれているような印象で、その効果は絶大です。
しゃべりまくる兄貴の存在ばかり笑えたし、寡黙な学には色んな事柄や感情を見せられました。時として映像そのものが何かを語っているような錯覚にも─ちょうど道路の真ん中や橋の上や砂浜でエンジェルを見るが如く─、奇跡的なものがたしかに見えました。そしてそこでまた笑ったり・・・
スタッフロールやタイトルバックがアルファベットで貫かれていたところもまた、この作品のみ本質だなーと噛みしめたりして、とにかく隅々まで色々と堪能できた気がします。
国への感情と人への感情は別
簡単に言ってしまえば日韓交流の話。
劇中でも語られますが、日本人が嫌いな韓国人は64パーセント、韓国人が嫌いな日本人は60パーセントということです。そっちが嫌い嫌いいうから日本人も嫌いにならざるを得なかったと思うので、自分もその60パーセントの1人です。
映画の冒頭で「やっぱり韓国人は嫌な奴だな」と思いました。(意図しているのでしょうが)
日本人と韓国人の家族同士が偶然一緒に旅をすることによってお互いの事を好きになっていく(もっとも6人の中で相手に敵意を持っていたのは1人くらいでしたが)という展開で、いざ顔を付き合わせて関わってみると文化や考え方の違いもあるけれど、病気の前では何人でも無力だし、ビールはおいしいし(自分は酒飲まないので仲良くなれないかもしれない(笑))、天使は見えるし(?)と同じな部分もいっぱいあるんだよ、という映画でした。
ビールと愛は国境を越えるのだ。
なになに?邦画でオール韓国ロケとな。
どんな感じだろう。なんか興味湧いた。
ソウルに住んでいる兄に呼ばれて、日本から息子を連れてやってきた弟。妻を癌で亡くして間もない設定だ。
一方の韓国人家族は、上から兄、姉、妹の3人兄弟。こちらは若い頃、両親を亡くしている。
全く繋がりの無かった2つの家族が、たまたま乗り合わせた電車で合流し、なぜかみんなで韓国人家族の墓参り。ロードムービーだったのね。
主人公は池松壮亮、相変わらずのゴニョゴニョ優柔不断系。兄のオダギリジョーは、フワフワの軽ーい感じ。この2人のキャスティング、ばっちりでした。特にジョー君、通訳をしながらチョコチョコ笑わせてくれた上に、なかなか深い重要な役割でした。息子役の子も、とても良かった。殆ど喋らないんだけど、演技にひきつけられました。
勿論、韓国の俳優さん達も素晴らしかった。
リアルな展開なのにファンタジー。バランスが良くて楽しかった。
日韓関係が冷え切っている今だからこそ、この作品には、とても意味があると思う。
どの国に行っても「ビールちょうだい」「愛してる」この2つの言葉さえ覚えれば、やっていけるかもね。
【『ベルリン天使の詩 日韓合作バージョン』 日韓の二つの”家族”が、様々な”相互不理解”を乗り越えて、”相互理解”に至る過程を、ロードムービー形式で描き出した作品。】
ー 石井裕也監督、オリジナル脚本作。ー
◆石井監督は、前作「茜色に焼かれる」でも、「ぼくたちの家族」でも様々な問題を抱える”家族”の喪失と、再生を描いて来た。
そして、今作でも同様のスタンスで【国交正常化以降最悪の状態にある日韓関係】を背景に、日韓の二つの”家族”が、”天使”をキーワードにしながら、壁を乗り越えて行く姿を、ロードムービー形式で描いている。
<日本の家族>
・妻を癌で亡くした売れない小説家の剛(池松壮亮)は、幼き息子と共に、兄の亮が住む韓国・ソウルにやって来る。
ー 剛が、韓国語が話せないところが、今作の一つの成功点であると思う。
”何時でも、必要なのは相互理解だ!”
と息子に言い聞かせながら、言葉の”壁”のため、兄の共同ビジネス者(パク・ジョンボム:今作の制作者でもある。)から手荒い扱いを受ける。そして、兄と共に韓国コスメの商売での成功を目論むが、共同ビジネス者の裏切りで、あえなく撃沈。”だから、韓国人は信用できないんだ!と地団駄を踏む、亮。ー
・二人は、ワカメの取引を始めようと韓国北東部のワカメ産地を目指す。
<韓国の家族>
・元アイドル歌手のソル(チェ・ヒソ)は、屈託した生活を送っている。兄、ジョンウは善人だが無職で、妹のポンはソルから”公務員になれ!”と言われ続けて、ソルを疎ましく思っている。
ソルは、もう一度歌手を目指そうとするが、上手く行かず・・。
そんな時に見た、夜の橋脚に立つ”天使”の姿・・。
日々、閉塞感を抱える3人は、叔母から”たまには両親の墓参りをしなさい!”と言われ、韓国北東部の両親の墓を目指す。
◆序盤、剛と、ソルは偶然、町の市場内の安っぽい店で顔を合わせている。黒いサングラスを掛けながら、歌手を諦めざるを得ない状況に涙を流しながら酒を呑むソルに、亡き妻の面影を見た剛は”日本人特有の曖昧な笑顔”で、話かけるが、日本語が分からないソルに、却って気味悪がられてしまう。
ー 日韓の人間同士の”他意無き相互不理解”を、上手く捉えているシーンである。ー
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<日本の家族と、韓国の家族のロードムービー>
・韓国北東部へ向かう2家族が、ひょんなことから、道中を共にし、剛がソルの窮地を救った事で、2家族は、急速に接近していく。
・そして、<日本の家族>も<韓国の家族>も、道中、様々な経験をする中で、再び心を通わせていく姿。
ー 剛のソルに対する気持ちを、お茶らけた態度ながらも、後押ししようとする亮の優しい心。
ソルの歌手時代のCDを大量にバッグに持っているジョンウのソルを想う気持ちも、じんわりと良い。ー
・”サランヘヨ”と、ソルになかなか言えない剛。
墓参り後、<韓国の家族>の懐かしき思い出がある海岸でソルが出会った”髭のおじさんの天使”(芹澤興人)・・。
ー このシーンは、白い天使の羽ヒラヒラフォーカスからの、あの天使の姿・・。
可なり、脱力する・・。石井監督!ここで、笑いを入れるかね!ー
・天使を再び見たソルに対し、”僕のサランヘヨは、貴女であり、息子であり、亡き妻であり・・・!”と剛が叫ぶように告げるシーンは、沁みたなあ。
・ラスト、<日本の家族>と<韓国の家族>が、<一つの家族>の様に卓を囲んで、黙々と食事をするシーンも、絶妙に良い。
<『日韓の様々な壁』
ー 言葉であったり、文化の違いであったり、過去の歴史解釈の齟齬であったり・・。ー
を、共に旅をする中で少しづつ乗り越えて行く、<日本の家族>と<韓国の家族>の姿。
それぞれの家族内の”相互不理解”も少しづつ解消されていく過程の描き方も、実に上手い作品である。>
君に捧げるほろ苦いブルース♪
天使をだれが演ったかはさておき、石井監督の絶好調さは、特筆もの。
茜色...は観ていませんが、この映画制作に困難な状況でも今年3作目の公開とは!
私好みの監督ではないが、今回の天使の映画に関しては、ここに来たかという意外性が逆に人生の進路に迷う大人には、ぴったりはまるかもしれません。
ソルと剛の不器用な愛の形が祖先の墓参りというロードムービーという体をとりながら、人が心の距離を縮めていく姿にうたれた
まさにほろ苦い人生でした!
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