「埼玉に住んでいるので程良い田舎感が落ち着く、愛ある作品」シュシュシュの娘(こ) たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
埼玉に住んでいるので程良い田舎感が落ち着く、愛ある作品
コロナ禍で見えた政治的私欲と分断された今の社会を、見事に風刺しシュッと成敗。入江悠監督の気概が伝わるエンタメ作品。
先に余計なお世話だと思う話をしておくと、あんまり入江悠監督作品は相性がいいと言えない。『AI崩壊』も「ネメシス」もダメだったし、ダラダラした会話があんまり面白くないからだ。ただ、今回は違った。やりたいことのビジョンがかなり見えていて、そこに走らせていたのが印象的だった。
市役所で起きた自殺と文書改ざんの秘密を暴くために立ち上がった未宇。実は忍者の血が入っていた…!というタイトル通りの秘密を引っ提げて進む。深谷の丁度よい田舎がリアリティの中にある違和感を包み込む。展開に関しては、ややビハインドが長く劇的には見えにくいが、ラストはスカッと気持ちいい。根矢涼香の演技も観れたのがなんか嬉しかったしほんわかとした長回しも退屈から愉快に変わっていった。
そんな緩くもスパッといく世界で躍るのは、福田沙紀。コロナ禍で『SPEC』を網羅した自分にとって、最近の活躍が無かっただけに観れただけで満足度は高かった。それだけでなく、空気感をラストまでリードしてくれたのが良かった。また、彼女の反撃の狼煙が見れただけで嬉しかった。
作品を通して、社会の分断への怒りとミニシアターへのエールが詰まっている。そんな気概がバチバチ伝わってくる逸品。ちくわ食べ…吹きたいな。笑
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