「台湾人の監督による日本の小説の映画化作品です。監督の日本への敬愛が感じられます。」越年 Lovers もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
台湾人の監督による日本の小説の映画化作品です。監督の日本への敬愛が感じられます。
日本の小説を原作に作られた、台湾・日本の合作
というのに興味がわいて鑑賞しました。
台湾・日本・マレーシア。
それぞれの国で起きる、3つのお話からな
るオムニバス形式の作品です。
3本の間に、ストーリーの繋がりは無く
120分の中に3本のお話が詰め込まれています。
そのため1つのお話は40分程度と短く、
ストーリーが駆け足気味な感じも受けましたが
3本とも 「その国らしさ」 を描いているように感じました。
◇
ポスターを見ると、日本パートの登場人物なので
日本がメインのお話かと思ったのですが、違いました。。。 あら
よく見れば、監督は台湾の人。
なので台湾パートが中心のようです。 なるほど。
作品タイトルの 「越年」 という小説。
舞台を日本から台湾に変えて作成されたのが
1本目の台湾編。
そして、雪の山形が舞台の2本目が日本編。
強風吹きすさぶ中、牛が空飛ぶ3本目がマレーシア編。
※日本編とマレーシア編に原作があるのかどうかは
サイトを見ても分からなかったのですが
パンフレットを見たら日本編だけオリジナルと判明
ハラハラ とか ドキドキ とか
そのような内容ではないのですが
観た後に 「ほっ」 とする気分になりました。
その感覚が、まだ続いている感じです。
少しクセもあるけれど、
後からじわじわと温かくなってくる、そんな作品です。
原作を読んでいる方が、
より世界に浸れるかもしれません。
◇あれこれ
3編のうち、最も印象が強かったのが「台湾編」。
冒頭から事件発生。
仕事から帰ろうとするヒロインが、男に待ち伏せされ顔をぶたれる
そんな穏やかでない場面から始まるこのお話。
クライマックスの場面ではこの男と女が
ま正面から平手打ちの応酬 おぉ
このシーンが余りにもインパクトがありすぎて
他の2編の印象が霞んでしまった感があります。 ホント
オリジナルの日本編
台湾生まれの監督が日本が好きで
日本の雪の風景に憧れて創作したストーリーらしく
雪国の感じが良く出ていたと思います。
◇余談
台湾編のヒロイン
そしてどこかで見たことがあると思ったら
「悲しみより、もっと悲しい物語」のヒロインの高校時代を
演じていた女優さんでした。
髪形のハネ方が特徴的。
雪の吹き溜まりの男二人
車の脱出のためにタイヤの下に服を差し込もうとする場面
服程度では効果ないと思うのですが…
※ しかも自分の服は使いたくないので、互いに
相手の服を要求する… うん どっちもダメ人間だ
岡本かの子さん(原作者)
不勉強にてどのような方か知りませんでした。
調べてみたら明治生まれの方。
この原作(「越年」)も戦前の作と知り、びっくり。
最近の作家さんかなと思ったなんて、とても人に言えません。
あと、岡本太郎の母だそうです。
この作者の他の作品にも興味がわき、
短編小説集を購入しました。
積んだままにならないよう頑張ります。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。