劇場公開日 2020年11月6日

  • 予告編を見る

「そこまでいうほど悪くはないかな。」十二単衣を着た悪魔 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5そこまでいうほど悪くはないかな。

2020年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 今年47本目。
源氏物語をテーマにしたものであるので、原作を知っていると有利ですが、かといって原作といっても中学高校で全巻読むわけでもないし、高校でもある数章の切り出しでしか読まないので、あまり知識差はないかと思います。しいて言えば「●日でわかる源氏物語」みたいなものを読んでおければ有利です。
もちろんストーリーにも配慮されていて、主要人物には「○○(のちの××)」というように注釈がつきます。

 書かれている通り、タイムスリップコメディものであるため、これをどう解釈するか、でしょうね。純粋な意味での文学作品ではないですが、かといって純粋な意味で源氏物語(にしろ竹取物語にしろ何にしろ)映画化するのは難しいので、こういうタイムスリップものにせざるを得ないと思うのですが、そこにコメディものをどこまで織り交ぜるか(あるいは、タイムスリップ+シリアス路線もありうる)という論点ですが、この論点もあながち悪くはないなと思いました。
コメディものとはいえ、「古典入門」という考え方では小学高学年や中学1年生のお子さんをつれていっても問題はないのでは?と思います。

 ※ 古典の中でも竹取物語や浦島太郎と違って、源氏物語のような大作を全部読み通すというような人は少ないので。

 評価は下記の0.6で4.4、4.5まで切りあげています(二捨三入による)。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------
 0.2… この作品、元の原作がやはり「大人の営み」が書かれており、中学高校の教科書ではそういう明らかにダメというか「取り立てて取り上げる意味がない」部分はカットしているのですが(それだけ選ぶ意味がない)作品内にはいくつか登場します。ただ、配慮はありますし、原作に存在もしますし、流れの都合上「原作にあるものを勝手に省略する」のも原作者に対するリスペクトの観点からすると仕方がないのかなとは思います(その点は減点度合いは低い)。

 0.4… コメディものなので、タイムスリップしてきたむこうの世界で「スマホ」などの単語が通じないのは当然ですが、私たちが高校で古典を習うように文語(書き言葉)は今とは異なるのですが(だから、日本で「古典」という科目が存在し大学入試でも問われる)、文語と口語(話し言葉)は違い、当然「スマホ」は通じませんが、口語は現代国文法とどこまで違いがあったのかはまだ争いがあり(江戸時代には今とそん色ないとされるが、あの時代にどこまで乖離があったかはまだ決着がついていない)、かといって「古式ゆかしき表現で話し続けて古すぎる表現に字幕が付く」というのも珍妙なので、そこはもう少し工夫が欲しかったです(もうこのあたりフルオープン・度外視して何でもありにしたほうが良かったのかも)。

 ※ 「やんごとなき」という、今ではあまり使わない表現が出てくるかと思えば「スマホ」が出たりするので、相場観がまるで謎。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------

yukispica