二人ノ世界のレビュー・感想・評価
全5件を表示
たいへん美しい映画でした。
盲目の女性と全身麻痺の男性の物語です。主演の二人、永瀬さんと土居さんの美しい演技と静謐でこれもまた美しい映像で静かに深く感動させて貰いました。
最後の性愛も含めた愛への決着にも深く深く納得させて頂きました。(ただラストシーンにもう少し切れ味?が欲しかった気もしなくはありませんでしたが。)
とにかく沢山の人に観て欲しい傑作です。
余談ですが男性主人公の親戚の方々の演技だけ市川昆の「犬神家の一族」みたいで何か面白かった。(わざとなのか?謎。)
【”触感と嗅覚と聴覚”で生きる女と、”視覚”で人の本質を見抜き生きる男との凄みを帯びた恋物語。従来の障碍者の方を描いた作品とは一線を画する作品でもある。】
ー 驚いた。凄かった。1時間44分、身じろぎせずに魅入ってしまった作品。ー
・バイク事故で負った脊髄損傷の為、寝たきりになった男シュウサク(永瀬正敏)はセクハラ発言の為何人もヘルパーを辞めさせた、人生を諦めたかのような表情を浮かべている。
彼を親身に心配するのは実の父だけである・・。
・そんなある日、父がラジオに困りごとを話しているのを聞いた全盲のハナエが、シュウサクの家に来て、ヘルパーとして働かせてくれと頼む・・。
◆今作の素晴らしき所
・障害を負ったハナエが、その事実に対し、敢然と立ち向かっていく姿。
・その姿を見た”外界に出る事を躊躇っていた”シュウサクが、ハナエに髪を切って貰い、亡き父の弔いのため、外に出る決意を固めていく男の表情の変化を演じる永瀬正敏の姿。
・ハナエを演じた土居志央梨さんの、子供と引き離された哀しみを抱えつつ、障害を負っている事に引け目を感じずに、世間に発する言葉。及び、この女優さんの凄みある演技。
ー 正月の縁日でぶつかって来た若い男への啖呵。
こんなに凄い女優さんだったのか!驚きである。ー
・且つては絵で名を挙げていたシュウサウの絵に愛おし気に顔を寄せ、触りながら絵を”見る”ハナエの姿。
そして、シュウサクを支えて来た旧友の写真家の三代目が、その絵の前でハナエを写真に収め、その写真を大切にするシュウサクの姿。
・愚かしきシュウサクの親戚の中年女性達に対してのシュウサクの”財産目当てだろ!”という啖呵。
<それでも、二人は一人では生きられない・・。
その哀しみの中、シュウサクは独りベッドに横たわり、天井を見る。
雨の中、踏切の中で立ち尽くしていたハナエが、シュウサクの思いを感じ、びしょ濡れの姿でシュウサクの部屋の襖の向こうに立つ。
シュウサクの呼びかけに応じた、ハナエは全てを脱ぎ捨て、シュウサクの横に静に横たわり、シュウサクの肩に白き美しい手を回し、柔らかな表情で目を瞑る・・。
その姿を天井から移したショットの幻想的な美しさよ・・。>
<2021年1月23日 永瀬正敏特集実施中の、刈谷日劇にて観賞>
■蛇足
・京都芸術大の若きスタッフ制作という事もあり、我が愛すべき”枡形商店街”が2度も映され、僥倖であったよ・・。
きれいごとで済ませてない
華恵の部屋での荒み具合の描写がすき。
河瀬直美『光』の感想でも言ったか書いたかしたが、介護/補助人と被介護者との共依存というか恋愛感情に近い物語については否定的な見方をします。
現実での介護従事者が観たら重荷になりすぎると思うから。
華恵の子供に会いに行ったとこ、見てて苦しくてつらかった。
ラストの映像、ノベライズでイメージしてたそのままを見事に映像にしてます!素晴らしい。と同時にノベライズではこのラストに「少しの未来の希望」みたいなのを漠然と感じてたのですが、映像で観た時に感じたのは林海象『二十世紀少年読本』ラストでの二人に似た、「破滅願望」のような覚悟のような過去も未来もなく「今」だけの刹那的美しさ。
考え方がわからない初めての映画
どんな考え方をしても正解がないような映画でした。
男の親族の人が主人公に対してそれが現実だよと言ったが
現実とは、綺麗、汚い、残酷とかの問題ではなくて、
在ることではないか?という事を思った高校時代を思い出した。
能力がないなら、進路変えた方がいいと言うが、そんな簡単な問題
ではないと思った。最後の君がいるだけでいいは究極の愛だと思った。
1+1
事故で首から下が不随の男と、彼を介護することになった後天的に視力を失った女性の話。
仕事を探すもなかなか採用されず、少し荒んだ暮らしをする視覚障害者の女性と、暴言を吐き、次々とヘルパーに辞められる男。
高齢の父親が介護をしているが、自身の身体のこともあり、ラジオを通して現状を訴え、求人をしたらやって来たのは心の強そうな全盲の女性だったというところから交流し、男は当然文句は言うけれど、女は出来ることを精一杯やるし黙ってはおらず、という中で変化が起きていく。
身体のことを言われたら、自分には本当のところを理解出来る訳はないし、的外れかも知れないけれど、気持ちとしては甘えたことを抜かす男の心境も解らなくもないかなというところ。
本音をぶつけ合うも思うようには事が運ばないもどかしさや、苛立ち、不安、哀しさとかが、響いてくると共に考えさせられた。
完全に個人的な映画の好みの話だけど、最後の感情、関係は、そうならない方が良かったなー…。
全5件を表示