「あら意外にも」夏への扉 キミのいる未来へ flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
あら意外にも
原作はロバート・ハインラインが50年近くも前に発表したSFの古典的名作。
個人的にはタイムトラベルもののSFは、無意識に本作を評価基準にしているほどの名作なのだ。
それを今さら映画化するという。悪い予感しかしないではないか(笑)
てわけでロードショーでは結局見ずじまいだったのだけど…
あら意外、良いじゃないか。
しまったこれは映画館で見ておけば良かった(笑)
大まかなプロットは原作からほぼ変えず、時代背景や風俗を現代日本に合わせ(ただし微妙に我々の知るリアルとは変えてあるが)、特に原作ではややアブナく見えたヒロインの年齢設定を上げたことで、巧く現代日本の映画として成立させている。
まあ、話の筋は映画の尺に収めるためか、原作の回り道を一切せずに中盤あたりからプロットが見えすぎてしまう嫌いはあるけど、でも巧いシナリオだとは思った。
何より役者陣が良かった。
特に山崎賢人と清原果耶が抜群。
山崎賢人は「アトムの童」でもそうだったが、夢に没頭する技術者の挫折とエネルギーを演じさせるとほんとにハマる。
清原果耶は言わずもながで、まだ野暮ったい女子高生と大人になった女性を短いシーンで観客に納得させる力量は相変わらず。
(メイクや髪型の影響もあるだろうけど)
原田泰造だけは、他の役柄からか、どうしても腹に一物あるように見えてしまうのだけど、このキャスティングは「ミスリード」のつもりだったのだろうか?
中盤以降、話のプロットが見えてしまうので、ミスリードならあまり活きてないように思えるのだけど…
原作未読であれば、そこそこ集中して見ないと話の筋を追いかけにくいのかもしれないけど、古典的名作を巧く蘇らせた良い映画だった。
食わず嫌いは良くないなぁ(笑)