「君といた夏 by ミスチル」夏への扉 キミのいる未来へ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
君といた夏 by ミスチル
原作は、ロバート・A・ハインラインが、64年も前の1957年に発刊した、タイムトラベルのSF小説。原作の時代設定である1970年を1995年に、そして2000年が2025年へと、現代風にアレンジして描かれている。しかし、著者が2000年には、瞬間移動のタイムトラベルも可能な時代となっていると考えていたのは、夢が語れる時代だった、ということでしょうね。
最近のタイムトラベルものは、得てして内容の展開が複雑になりがちで、ストーリーについていけない作品が多いと感じる。しかし本作は、古典的というか、元祖的であるが故に、単純なタイムトラベルだったため、主人公が行き来した1995年と2025年とのタイムループの流れが、よくわかり、ストーリーにも入り込めた。
ストーリーは、天才的なロボット工学の高倉宗一郎が開発した、特許を巡り、信頼していた共同経営者と恋人に裏切られて、全てを奪い取られてしまう。更に、宗一郎は、人体を凍らせて永い眠りにつかせる『コールド・スリープ』に入れられ、30年の眠りにつかされ、その眠りから覚めたのが2025年。
全てを失ったところから、少しずつ記憶をたどる中で、愛する義妹・璃子を守り、新たな未来を生み出すために、過去への扉を開き、タイムトラベルによって未来を変えていくお話。最後には、それまで散りばめてあった数々の伏線が、見事に回収され、感動的な再会の中でのエンドロールに、グッと引き込まれた。
主演の山崎賢人は、ヒューマンドラマからアクションまで、いろいろな役柄をこなし、いい俳優さんに成長してきています。義妹役の清原果那も、朝ドラ進出するだけあり、これからの有望女優さん。夏菜が思った以上の悪女振りを発揮し、原田泰造は、てっきり悪の巣窟役かと思いきや、意外な役どころ。そして、ロボットのピート役の藤木直人。原作には登場しない役柄とか…。感情を表に出さないロボット役に徹する中、偶に見せる山崎賢人との、ちょっとした掛け合いが、笑いを誘う。
エンディングでは、Lisaの曲が流れたが、やはりこの作品には、劇中の挿入歌として流れた、ミスチルの『君といた夏』がピッタリだと思う。