「最高に素晴らしい」ファナティック ハリウッドの狂愛者 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
最高に素晴らしい
映画秘宝の最強新聞のコーナーで紹介を担当させていただいております。長年映画を見続けて老いを感じるころ合いになってしまった我々にはただごとでない映画で、イオンが配給だからみんなの近くのイオンシネマで上映されます。新潟はイオン新潟西での上映が決定しています。胸を張ってお勧めします。みんなで見よう!
(追記)
イオンで公開されていたので2回目。やっぱり素晴らしかった。これまでこのようなクレイジーなオタクを描く際には嘲笑や揶揄、排除の対象が多くて、今敏監督の『パーフェクト・ブルー』などオタクがもろにストーカーの犯罪者で恐怖の対象で排除される様子が描かれていて、お前はそうじゃないのかと今監督が大嫌いになった。細田守監督の作品にも同様な印象がある。『ファナティック』ではキモヲタを共感や敬意をベースに描いている。
トラボルタも若いころは『サタデーナイト・フィーバー』でそれこそ、ハンターをはるかに超えるレベルのスーパースターで、キモヲタに迷惑してひどい対応もしたのだろう。しかし長い低迷期を経て『パルプ・フィクション』でスターに返り咲いてからは「ファンあってこその自分」が身に染みて実感したのではないだろうか。ハンターがそもそもトラボルタで、トラボルタが若いころに冷たくあしらったキモヲタがムースで、そのように冷たくした相手に懺悔して、実は自分もキモヲタで仲間だという気持ちでムースを演じたのではないだろうか。そうしてこの映画の暖かみが醸し出されているのではないだろうか。
ムースの友達のリアがあり得ないレベルでムースに親身で、ファンタジックな存在かと疑念が生じる。
70前くらいのトラボルタと同世代女性がお友達と見に来ていて、そういう人たちはどのように受け止めるのか、ちょっと気の毒であった。