スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のレビュー・感想・評価
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「自閉症について描いた映画ではなく、他者への愛、そして献身について描いた映画」
個人的にはとても良い作品だと感じたのですが、こちらでの評価が低かったので初めてレビューを投稿します。
83本目
副題が「政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」なんだけど正にその通りの内容で、とても良かったし、とても考えさせられた。
というのも、これが「良かった」と思ってしまうのって「映画」という1エンターテイメントとして享受しているからであって、当の施設の方々からすると本当に日々を切り取っただけであって、この映画のような壮絶な毎日を彼らは過ごしているんだろうというのが、ドキュメンタリーのように伝わってくる作品だった。
登場人物も結構多い割には各々のキャラがしっかり描写されていて「誰々と誰々の関係が良かった」っていうのが沢山あり過ぎて書ききれない感じ。
ブリュノとジョゼフの関係はもちろん、ディランとヴァランタンの関係は、お互いが歩み寄る様子を描写過多ではなく「視線」や「表情」で見せる手法が良かった。
(ディラン役の俳優さんはこの作品が唯一の映画出演作らしい!今後に期待したい俳優さんですね)
観てて辛い部分やシビアな描写もあったけど、コミカルさも忘れておらずその辺のバランス感も良かったし最後には泣いてしまった。
一人一人が心から寄り添いあっていて、そこに確かな愛があるんだと伝わってくる、胸に突き刺さるけど温かさも残るリアルな作品でした。
なんていうか、映画だから「良い作品だった」と受け入れられるけど、実際にはこの世界に自分が関わることは絶対に出来ないから、素直に良いと言えないみたいな、そんなリアリティのある作品でしたね。
めちゃくちゃ好きだけど、好きだというのに後ろめたさを感じてしまうような…難しく考え過ぎか…笑
後でパンフを読んで分かったけど、リアルなのも当然、本当に自閉症の方々や支援者の方々が出演しているとのこと。
「この作品は自閉症について描いた映画ではなく、他者への愛、そして献身について描いた映画」と書かれているのを読んで、僕も自信を持って好きな映画と語れるし、「知る」という意味でも素晴らしい作品だと思いました。
いろんな意見や考えを生みそう
最強のふたりは大好きで年に一度は見たくなる僕にとって大切な作品である。同じ監督という事もあって必然と期待値が高まりすぎてしまったのか少し期待してたのは違ったかなというのが率直な感想。
この作品に限らず「障害」というのをテーマにするのはやはり難しさはあるのか。この作品で描かれているのは自閉症の児童達がメインである。もちろん彼らを必要以上に特別な目で見てるつもりはない。ただこの作品で描かれているように彼らを特別視せずに健常者と共に生活できる社会を求めるには逆に彼らを特別扱いしすぎてる場面もあるように感じてしまい疑問を抱いてしまうシーンが度々ある。
特に印象的だったのは電車や駅にある非常ベルを押して逃げるシーンだ。この作品は実話ベースであり、もちろん現実はどういう対応をとっているのかは知らないが、この作品内では鳴らす事に具体的な注意などなく一緒に逃げるシーンが描かれている。この辺りは文化の違いなのかわからないが、彼らを理解しようとする心に水を差され気持ちが作品から心が離れてしまった。
ホテルの窓からレンジを投げるシーンもそうだが、一般人に傷をつける可能性があるシーンに対してのフォローがないのは終始引っかかる。
もちろんいいシーンも多いのだがこういうシーンが僕は目につきあまり心に響く作品ではなかったかなというのが率直な気持ちである。
かといって彼らを否定するつもりは全くない。作品の感想と彼らへの理解は全く持って別物であり、監督同様彼らが特別扱いされ溶け込みづらい社会を改善していく事の必要性は同じ気持ちである。
価値観や考え方の違いからこの作品は個人的には合わなかったが、現実の一部を知る貴重な時間ではあった。
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