スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のレビュー・感想・評価
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福祉・介護で働く人達が勇気をもらえる傑作!!
フランスにある、自閉スペクトラム症で活き辛さを抱えている人達を支える無認可施設で起こった実話が基になっている。
主人公2人にはモデルがいる、そしてパンフレットにモデル2人のインタビューが掲載されている。珍しいのでは?
テーマは「他者への愛、献身」
活き辛さを抱えている施設利用者に対する熱量が振り切っている!
時間を惜しまず魂を通わせているなんて、簡単にはできないことです。
真剣な表情、愛情溢れる笑顔からは「幸せ」を感じる。
金とか権威に執着している人には理解できないだろう。
福祉は、道を拓く人達がいて、後から「法律」がノコノコ付いてくる。フランスも日本と変わらないらしい。
そして法律を超えたところに「ケア」があるのも変わらない。
他の施設で受け入れてもらえない人を、断らず引き受けることは、とても難しいはずなのに、そこで働く人達は羨ましいくらいのエナジーを放っている。これもフランスと日本は同じだ。
障害者福祉の人はもちろん、高齢者介護の人たちの魂を揺さぶる映画なのは間違いなしです‼️
ヘッドギアと洗濯機
冒頭から凄い疾走シーン。女の子が町の中を走る、走る、走る・・・この子も自閉症児だったんですね。教育とは何か、体を張って社会へと送り出すことなんだと、改めて思い知らされました。
ジョゼフは実際の自閉症児でもあり、地下鉄の非常ベルを鳴らしてしまうという悪い癖があった。ブリュノは彼を職に就かせようと洗濯機を扱う会社に頼み込んで1週間の見習いとして雇ってもらう。洗濯機マニアの彼がどこまで仕事をこなせるか・・・
壁や窓に頭を打ちつける癖があるため常にヘッドギアを付けている少年ヴァランタン。彼は弟が実際に自閉症であるらしく、弟の苦悩を自ら演じて見せている。馬を撫でるシーンやクライマックスも彼の好演があってこそのものでした。
問題を抱えている青少年に寄り添い、社会に送り出そうとするブリュノとマリク。ケア施設「正義の声」は無認可だけど、他の施設で受け入れてもらえない重症の子ばかり。マリクが教える生徒も無免許のまま補助活動し、やがて監査によって経営の危機が訪れるのだ。
今の日本は、「自助、共助、公助」と順番がちゃうやろ!てなくらい、自己責任でやれと言ってくる政府。社会的弱者は置いてけぼりにされる世の中になっている。北欧と比べても福祉政策がかなり低い水準の日本。福祉のために増税します!なんていう言葉がなんて空虚なことか。この映画を観たら考えも変わるかもしれないのになぁ・・・
障害者自立支援と言う完全な解決法もゴールも無い課題
ムスリムが運営する障害者介護施設。厚生省も現実的な判断を下さざるを得なかった無認可組織。やっぱり問題。日本でも問題。フランスとは質が違いそうだけど。
ちょっと過去の我が国における障害者支援法の経緯をネットで調べててびっくり。2012年、民主政権下で「障害者総合支援法」となったと明記してる団体が居て。もうね、ネットって言い放題ですよね。問題だらけの「障害自立支援法」を廃案とし、抜本的な見直しを行った上で「総合支援法」を制定する事を公約に掲げながら、「自立支援法の改定」で誤魔化し、名前を「総合支援」に変えただけなのに。これって、ほぼ詐欺だよねw
それはさておき。
H22年に、違憲裁判団と厚労省の間での合意の中で、解決すべき課題として挙げられているのは以下の6点に集約されます。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
最大の課題は①で、応益負担をサービスを受けるもの全員に求めた点にあります。この弁護団の主張は、手っ取り早く言えば「100%行政負担」。それもどうかと思いますけどね。
民主政権下で約束を反故にして誤魔化したのは厚労省。自民政権にかわり、内閣府の指示で厚労省が抜本的見直しに着手しているはずですが、遅々として進まず。確かに、障害者ビジネスに群がる利権団体(反社含む)も多いし、この映画に出て来る「本当に助けてあげなければならない人たち」を待たせるのは辛いし、財源は問題やし、制度の隙間を突いて甘い汁を吸う事しか考えてない奴らをブロックしなきゃいけないし。難しいのも理解できますが。ここは政治主導で押し切って欲しいものです。2年間サボりっぱなしの現野党も、やると約束したんですから協力すべきです。
人間ドラマとしては面白かったけど、なぜか感動までは至らず、映画としては。
物語のモデルとなった方々への尊敬の念は、映画の感想とは、また別。
本当に、尊敬しかありません。
大変な仕事
菅総理におすすめ!
「最強のふたり」が好きだったあなたも、そうでない方もぜひ!
邦題(副題の方)がかなりイマイチで映画ポスターもなんか。。。同じくイマイチで(すみません)
うーーーむ、観よっかな?どうしよっかな?と迷いながらも鑑賞。
私、映画の情報を事前にあまり調べないので、見終わった後に
「最強のふたり」と同じ監督だったことを知り、ポンっと膝を叩きました。
そして、見逃さなかった自分を褒めました。
「観てよかった!大正解!」
ユーモアがいい塩梅で散りばめられている緩急の見事さ。
空気が重くなるであろうテーマを扱っているにも関わらず、
この軽やかでしなやかな印象を残すのは見事としか言いようが
ありません。
でもしっかりと事実を伝えることはできている。
それもきっと虚飾なく。綺麗ゴトを陳列していないからこそ感じるんだと
思います。
だからこそ、真に迫る映画ですし、メインの2人の役者さんが本当にその団体を率いている
のではないか?さえ思ってしまいます。
僕の大好きなシーンは、団体を牽引する二人にフォーカスして短時間、仕事を離れた時間を描いているところです。
会ったことも話したこともないですが、尊敬者リストに入りました。
いや、入れさせていただきました。
生き様、見事です。
信念って、見えない力の中で「最強」だと思いました。
#77 フランスは福祉先進国だと思ってのに
仕事で各国の福祉事情を調べることがあるが、欧州はどこも日本より進んでいると思ってた。
自分が死んだら残された子供がどうなるか悩む姿は日本と全く一緒。
でも民間団体で国ができないことを補うという国民性が凄い。
さらに社会から取り残されている人たちに支援員として仕事を与えて一石二鳥の役割を果たしてるところが素晴らしい。
会社の同僚達に是非みて欲しい映画。
こう云った話で“実話“という言葉に弱い私…。
簡単な問題じゃない!
「政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」・・・邦題がすでにネタバレ(笑)でも、イェーイ、やったね!という単純な話ではありません。
パリの自閉症児ケア施設”正義の声”。経営者のブリュノは、よそで預かってもらえない重症者もすべて受け入れるので、常に定員オーバーです。一方、マリクが経営する団体”寄港”はドロップアウトした若者を支援します。自閉症者の症状は様々で、きめ細かいケアが必要だし、危険も伴います。彼らの自立を目指し、まずは社会に馴染ませる訓練として支援員と1対1で組むのですが、そのペアは一見どちら側か区別がつかなかったりします。”寄港”の若者を支援員として雇っているからです。
ここに政府の監査が入ります。国は現状を見ようとせず、規格からはみ出している=ルール違反→子供の安全が担保できないから閉鎖、と考えます。
これでは障害が重い子ほど支援を受けられないことになります。シンプルに、子供にとって何が必要かを考えれば、国のすべき事はわかるはずなのに。(予算を割きたくないのかも)
母親が、「私がいなくなったら?」と問うても、ブリュノは「安心して」とは言いにくい。
問題だらけの大変な仕事をなぜ彼らが始めたのかは語られませんが、彼らが移民だという事も関係あるかもしれません。彼らが(ディラン達も含め)なぜ辞めないのかは、映画を観てください。子供たちが少しずつ自分を表現できるようになってくる姿が救いです。
【まったくのオマケ】
上記作品とは関係ありませんが、映画つながりということで。
古い新聞記事で、”横暴編集長”というカード遊びを見つけました。(カードは自分で作るが、作らなくてもいい)古今東西の名作のタイトルを上下2つに分けて、バラバラのものをつないで新作を作ります。例えば、「ぐりと毒薬」
最近悲しいニュースが多いので、気分転換に自分のレビューの映画で作ってみました。
「あやしい雪の女王」「喜劇ダム」「フォードVS死なない彼女」「宇宙でいちばんふり、ふられ」「空の青さを落としただけなのに」「任侠若草物語」…夜中にやると逆に寝付けなくなります。
-----------------------10/29追記------------------------
タイトルの「スペシャルズ!」について、自分は考え違いをしていたようです。
宣伝ポスターのいかつい男二人に、太い文字で、「スペシャルズ!」・・・なんとなく、「俺たち最強タッグだぜ」的な感じで、それに当然だけど障害のある子供たちにも人権がある、ということも併せて訴えているようなイメージと受け取っていました。でも、内容に比べて主張が強いタイトルだなあ、なんて。
ふっと、WHAM!の”Last Christmas”の歌詞を思い出しました。
I'll give it to someone special…この歌では、specialをとっておきの大切なものといった意味で使っています。
スペシャルズとは、子供たちの事だったんですね。一人一人がかけがえのない大切な存在である、そういう意味ですね。
規格外
2020年ベストムービー!⭐️✨
学ぶところの多い作品でした。
作品が提示するテーマは、当時のフランス行政の、障害児・者に対する福祉施策への批判となっています。
この作品は、より現場に近い場所からこの問題を捉えています。つまり、その家族を含め、それぞれの職業や関わりを持つ人たち(主には"支援員"と称される人たちやその卵)の視点から、どんなニーズや苦労があるのか、またどんな医療や福祉、生活支援が実際に必要であるのかが、その背景を含め描かれ、形式的な(お役所的な)制度にばかりこだわっていては、その支援が身にならない事を教えてくれます(もちろん、制度的な整備は、効率的でより良い人材育成などのためには必要でしょう…)。
医療や福祉に関わっている人たち、またこれから関わろうと思っている人たち…それぞれの関わる職域や立場から発見のある作品だと思いました。
オススメ!
*ジョゼフの母が勧めるパイを断る度に、彼女の顔を見て結局は持ち帰るブリュノ…彼の優しさに泣かされました( ; ; )
あなたが受け取ったメッセージは何でしたか?
副題がいただけないけど…
いやぁ~
ホントに制度を越えて
映画的な盛り上がりに欠けているが…
自閉症児をケアする施設を運営する2人の男性を描いた実話ベースの物語。
いろんな障害があって、様々な問題行動を起こす当事者たちの姿と、それを支援するスタッフたち。実話ベースなので最後に劇的な変化が待っているわけではない。ほんのわずかな変化。でもそれが前に進んでいる感じがして心地よい。
フランス政府がこの施設を潰そうとしているってことが本作の大きなテーマのはず。潰そうとする理由は、無認可だから、無資格のスタッフが多いから、定員以上の子どもたちを受け入れているからだった。言ってることもわかるがかなり理不尽。そのピンチをどう乗り切ったのか?ってところで盛り上がるのかと思っていた。ところがそんなクライマックスは待っていなかった。字幕でこうなりましたって説明がされただけ。かなりの肩透かしにあった印象だ。ここをもう少し映画的に盛り上がっていたらもっと評価が高くなっていたはず。
ただ、こうした障害者の問題を考えさせるという意味ではとても価値のある映画だった。
ピンポンダッシュ🏃
臨場感があって秀作でした。
まるでドキュメント映画みたいでした。
主人公は片時も休めないし、お見合いデートも無理。
なんとかならんのか?
寝ろよ 寝てくれ。
倒れるなよ❗
と、そっちのほうが気になって、アタシのアタマのなかでは福祉のことはおろそかになりがち。
お役人役の二人との対決では感情的になる場面もあり、少しは溜飲下げられた。
あのお役人は監査・監査・調査・調査でだらだら一年過ごしてしまうのだろう。
地下鉄ピンポンダッシュ🏃のシーンは少しはガス抜きになった。
ラッシュアワーで地下鉄止めたら、賠償額すごいことになると思うけど、どうなんですかね? NPO?経営大変ですよね。本当に頭が下がります。2つの組織が連携することも少しは経営的にプラスなのか?よくわからない点もありましたが、道路での救出場面はカッコ良かったです。
裏で麻薬売って、運転資金にしていたとしてもオレは断然許しちゃいます❗
キュートな言語療法師さんはなんか既視感あるんだけど。初めてかなぁ?
原題は《柵を飛び越えた人達》でしょうか?
実話をベースにしているがドキュメントそのものと捉えても過言ではない。日本語タイトルが変だけど一言では言い表せないから仕方がないのかな?原題は《柵を飛び越えた人達(規格外の人達)》。それにしてもスゴい超絶人間愛が溢れていてKOされた。自助ごり押しするならやってみろ❗誰もが匙を投げてたらい回し押し付け合うほどの一人では生きて行くのが困難な人達を街で生きるフツウのド素人達がガシガシ前に進んで共に生きようとしている。無資格の支援者たちも訳ありだ。しかし、これだけ根っこを深く張り逃げない主宰者に訳あり若者もやがて自ら真剣に向き合わざるを得なくなる。自暴自棄になり自己承認の薄い青年が、このとんでもないぐちゃぐちゃな子供に文字通り体当たりで付き合ううちに自分こそが救われていることに気づく。誰かの役に立つ事が自分を生かす道だと言う単純で簡単なことに《腑に落ちる》ことこそが共生社会を構成する第一歩目なんだろう。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、其々信仰は違っても独りぼっちにはしないと昼夜関わる。これが人間愛と言わずなんという。日本の《福祉》の根底を徹底的に構築しなおさないと人間愛は益々消えるだろう。自助の国日本よ。この映画は単なる道徳映画ではないからフランス人独特のユーモアもあり。
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