「障害者自立支援と言う完全な解決法もゴールも無い課題」スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5障害者自立支援と言う完全な解決法もゴールも無い課題

2020年10月25日
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鑑賞方法:映画館

ムスリムが運営する障害者介護施設。厚生省も現実的な判断を下さざるを得なかった無認可組織。やっぱり問題。日本でも問題。フランスとは質が違いそうだけど。

ちょっと過去の我が国における障害者支援法の経緯をネットで調べててびっくり。2012年、民主政権下で「障害者総合支援法」となったと明記してる団体が居て。もうね、ネットって言い放題ですよね。問題だらけの「障害自立支援法」を廃案とし、抜本的な見直しを行った上で「総合支援法」を制定する事を公約に掲げながら、「自立支援法の改定」で誤魔化し、名前を「総合支援」に変えただけなのに。これって、ほぼ詐欺だよねw

それはさておき。

H22年に、違憲裁判団と厚労省の間での合意の中で、解決すべき課題として挙げられているのは以下の6点に集約されます。
 ① 利用者負担のあり方
 ② 支給決定のあり方
 ③ 報酬支払い方式
 ④ 制度の谷間のない「障害」の範囲
 ⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
 ⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
最大の課題は①で、応益負担をサービスを受けるもの全員に求めた点にあります。この弁護団の主張は、手っ取り早く言えば「100%行政負担」。それもどうかと思いますけどね。

民主政権下で約束を反故にして誤魔化したのは厚労省。自民政権にかわり、内閣府の指示で厚労省が抜本的見直しに着手しているはずですが、遅々として進まず。確かに、障害者ビジネスに群がる利権団体(反社含む)も多いし、この映画に出て来る「本当に助けてあげなければならない人たち」を待たせるのは辛いし、財源は問題やし、制度の隙間を突いて甘い汁を吸う事しか考えてない奴らをブロックしなきゃいけないし。難しいのも理解できますが。ここは政治主導で押し切って欲しいものです。2年間サボりっぱなしの現野党も、やると約束したんですから協力すべきです。

人間ドラマとしては面白かったけど、なぜか感動までは至らず、映画としては。

物語のモデルとなった方々への尊敬の念は、映画の感想とは、また別。
本当に、尊敬しかありません。

bloodtrail