「とにかく蒼井優が良かった」スパイの妻 劇場版 Donguriさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく蒼井優が良かった
時代ものの作品は、観客としてその時代にタイムスリップできるかどうかが大事な問題で、蒼井優の台詞の第一声を聞いた瞬間から、僕はその時代へ軽々と飛ぶことが出来た。ありがとう、蒼井優!
蒼井優は、昔の映画をチェックして当時の喋り方や身のこなしなどを研究したのだろうか。特に現代劇とは違う時代性のある喋り方が良くて、洒落た古い映画を観ているような気分に誘ってくれた。
もちろん高橋一生も良かった。洋物を好み、スマートで嫌味がない紳士として登場し、蒼井優の芝居と噛み合っていて面白さを引き出している。
それから大河ドラマ「いだてん」のオープンセットを使ったという街のシーンも、豪華なセットで迫力があり、時代的な説得力を出すのに一役買っていた。
ストーリーも3人がかりの脚本とあって練られていて、夫婦がとある計画を進行させるハラハラドキドキ感まで盛り上げていく。
充分に面白いのだけど、盛り上げておきながらあっさり展開が終わってしまう部分もあって、尺が足りなくなったのかなと思った。事実、ラストは慌ただしく展開し、字幕で終わらせちゃったのは残念。最後の行の字幕は、とくに……蒼井優(の役の妻)がどんな気持ちで旅立ったのかに興味が湧きすぎて、「字幕だけで終わらせるなんて、もったいない~!」と、後を引きすぎて映画をひとり終わらせられなかった(苦笑)。
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