劇場公開日 2020年10月16日

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「蒼井優の「お見事!」演技なければクソ映画」スパイの妻 劇場版 トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0蒼井優の「お見事!」演技なければクソ映画

2020年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2013年公開の「リアル 完全なる首長竜の日」というチョークソ映画を見たのを最後に、黒澤清作品は見ていないし、この映画もクソ映画だと思っていた。

しかし、海外で大きな賞も取り、自分の好きな戦中が題材になっているので、ムビチケを購入したうえで映画館へ。土曜日の午後、東京・城東地区の映画見巧者が集まる劇場は中高年を中心にそこそこの客入りだった。

戦中の軍人、とりわけ憲兵が出てくるというのに、アタマ(頭髪)は丸刈りでないし、顔つき、体つき、所作…どれを見ても、当時を再現していない。
高橋一生と蒼井優の浮世離れした夫婦の在り方もおかしい。
蒼井の子供っぽい声、顔、体つき…どれも、この芝居にマッチしないなー、と思いながら見ていた。

しかし、この映画のキモの部分でもある、主役が「反戦」のために取る行動、そのトリックを見て、妙な気持ちがストンと消え、ヒロインともども、「お見事!」と小声で、ささやきたくなる内容だった。
その意味では、戦中の日本の姿をリアルに描くこともなく、731部隊の所業と思しきあれこれなどの題材も、このファンタジー作品を作るための材料にしかなかったのである。

本来なら★2つのクソ映画だが、蒼井の演技に免じて、鑑賞をお勧めしたい、★4つにランクアップしておいてやる。

町谷東光