「映画好きには堪らない逸品」スパイの妻 劇場版 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
映画好きには堪らない逸品
太平洋戦争開戦間近の神戸を舞台に、期せずして軍の機密を知ってしまった貿易商夫妻。ハイカラで上流階級の高橋一生と蒼井優のセリフ回し、衣装、立ち振舞いがクラシカルで、その時代や人物像の雰囲気を存分に出している。憲兵隊長の東出昌大もいい味。
黒沢作品初の歴史物とのことだが、ミステリアスなサスペンスにぴったりの設定で、本領を発揮している。
スケール感は不足しているものの、神戸市街のセットをはじめとした美術、陰影を強調した照明が見事で、アップ、ロング、切り返しなど、流麗な演出が堪能できる。
過去の映画の引用を含めて、とにかく映画好きには堪らない逸品。
フィルムのトリックは、まさしく「お見事」。
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