「タイトルとはちょっと違うかな…」スパイの妻 劇場版 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルとはちょっと違うかな…
タイトルに惹かれ、予備知識ゼロで鑑賞してきました。それなりにおもしろかったですが、内容はタイトルとはやや違うかなという印象の作品でした。
物語は、貿易会社を経営する福原優作が偶然知り得た国家機密情報を、正義の信念のもとに世に晒そうとし、それを知った妻の聡子が危険を覚悟の上で夫を支えようとする姿を描いています。
序盤は、主要人物の関係性をゆっくりと読み取らせながら、軍靴迫る当時の日本を描きます。そこへ、優作が満州から一人の女性を連れ帰ったことで物語は動き出します。ここから、サスペンスの雰囲気が漂い、じわじわとおもしろくなってきます。特に、真実をめぐって繰り広げられる、高橋一生さんと蒼井優さんの迫真の演技のぶつかり合いは、見応えがありました。
そして終盤。さあ、命がけで正義を貫こうとする優作と、これまた命がけで夫を支えようとする聡子に、この先何が起こるのか!二人の目論見は成功するのか!と期待は大いに高まります。しかし、なんとなく先の展開が読めるオチに拍子抜け。さらに、そこからラストまでの流れもいささか消化不良でした。煽るだけ煽ってこのラストでは、残念ながらカタルシスを得られませんでした。これが史実なら致し方ないところですが、実際のところはどうなのでしょうか。
というわけで、主演の二人の渾身の演技、すみずみまでこだわった昭和の風景等、もちろん見どころもあるのですが、劇場作品としてはいささか物足りない印象の作品でした。
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