「【岩田剛典さんは、”この作品は切ないヒューマンラブストーリーです”と言った・・。私はそこに”究極の”と言う言葉を付け加えたいと思った作品である。】」名も無き世界のエンドロール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【岩田剛典さんは、”この作品は切ないヒューマンラブストーリーです”と言った・・。私はそこに”究極の”と言う言葉を付け加えたいと思った作品である。】
ー 幼い頃から友情で結ばれた、キダとマコトとヨッチの絆は永遠に・・ ー
◆キダを演じた岩田剛典さんの、マコト(新田真剣佑)に対する、ウラ社会に入り込んでの、”無償の献身”の姿が哀しい。
キダが、”あの運命の交差点”でヨッチ(山田杏奈)に告白した時に、ヨッチから告げられた言葉。
それでも、彼はその後10年にも亘り、親友のために黙々と”仕事”をするのである。岩田さんの抑制した、表情を余り変えない演技が冴える。
だが、マコトの前では、哀しき仮面を剥がし、素の表情で会話し、彼の仕掛けたドッキリにも驚くキダ。マコトもキダの前では、仮面を剥がす・・。
◆現在と過去を行き来するストーリー展開も、3人の強き関係性が育まれた理由付けとして、上手く機能している。
◆物語構成も、良くできている。
但し、キチンと観ていれば、後半20分の展開は読めるのだが・・。
◆更に言えば、ヨッチの無念を晴らすために、キダとマコトが”あそこまで行う”理由付けが少しだけ弱いと思う。
が、有力代議士(石丸謙二郎)を父に持ち、倫理観が壊れたモデルのリサの狂気に近い振る舞いを演じた中村アンは、凄かった。
<この作品が沁みたのは、マコトと”犬のように殺された”ヨッチの無念を晴らすために、自分から闇社会に入り、マコトを支えたキダの”無償の献身”の姿が、心に響くからである。
岩田さんの出演した作品の中で言うと「去年の冬、きみと別れ」に似たテイストの復讐譚であるが、岩田さんが爽やかな笑顔を封印した今作品も、印象に残る作品である。>
■蛇足
・映画は、エンドロールまで観ましょう・・。
・客電が上がった後、舞台挨拶があった。
佐藤祐市監督が、今作と同日公開となった「ヤクザと家族」「花束みたいな恋をした」に言及され、”今作と同じ絆をテーマとした作品です。この時期、積極的に映画館に来て欲しいとは言いにくいのですが・・、観ていただければ・・”と言う言葉を口にされた。
そして、締めで、岩田さんがコメントをしたのだが、同様のコメントをされた後、
”映画を観る事で・・”という素晴らしきコメントを口にされた。
素晴らしい俳優さんであり、且つ聡明な人であると思った。