「絶対笑われないと構えるひとこそ、笑えてしまう」はりぼて 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
絶対笑われないと構えるひとこそ、笑えてしまう
政治ドキュメンタリーはわりと好きなジャンルなので観てみた。正義感あふれる若い記者2人が、富山市議会議員にはびこる不正なカネ疑惑を切り裂いていく。
ターゲットにされた議員は、政治資金の明細を調べ上げられ、突っ込みを受け、やがては公にされて詐欺の刑事告発を受ける。この過程で、辞職したりする。政治活動の名のもとに、自らの懐を肥やすために架空領収書を切ってしまう議員たち。皆がやっているからだとか、政治とはこんなものだとか、そういった風習がはびこっていたのかもしれない。
それにしても、弁明、謝罪の過程で晒す人間性は生々しく、生真面目であるがゆえに滑稽で、どんな芸人のコントよりも、逆説的におもしろい。芸人や芸人をこころざすひとこそ、こうした政治ドキュメンタリーを観てネタをつくってほしい。笑いをとろうとするひとより、絶対笑わわれないぞって構えるひとこそ、逆に笑えるというパラドックス。
それにしても、議員ってどんな仕事しているんですかね。一旦当選してしまえば任期が確定して、既得権益ごと引き継げば、そこにあぐらをかいてしまって仕事をしないひとが多数ではないですか。それをはねのけて、仕事をするひとって、やはり、精神的な強さ、信念のあるひとじゃないと勤まらないでしょうね。
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