「シリアスなポスターとは裏腹に能天気なテーマ曲が爆笑を煽る爆笑エンターテインメントドキュメンタリー」はりぼて よねさんの映画レビュー(感想・評価)
シリアスなポスターとは裏腹に能天気なテーマ曲が爆笑を煽る爆笑エンターテインメントドキュメンタリー
2016年富山県のローカルテレビ局チューリップテレビの取材で明らかになった市議会のドンと呼ばれる議員による政務活動費の不正使用。この報道を皮切りにまさに芋蔓式に不正が発覚し14名の市議会議員が辞職するという未曾有の事態に陥った一部始終をチューリップテレビのスタッフの目線で追い続けたドキュメンタリー。
上記のようにあらすじをまとめると堅苦しいイメージになりがちですが、これが驚くべきことに随所で思わず爆笑してしまう完全なるコメディ。どうしようもなさすぎて失笑するしかない弁明を真顔で開陳する議員、つい数日まで繰り返した前言をシレッと撤回する議員、議員として以前に人としてどうかしている行為に手を染める議員、次から次に現れる議員達が本人達の意図とは裏腹に笑いをかっさらっていくのがとにかく痛快。そしてその笑いを随所で盛大に後押しするのが映画のテーマ曲“はりぼてのテーマ~愛すべき人間の性~“。この素っ頓狂なまでに呑気なサウンドが炙り出すどうしようもない政治腐敗に呆れながら腹筋がキリキリ痛みます。そしてタイトルの“はりぼて”が何を意味しているかを繰り返し映像に叩きつけながら、その批判の目をしっかり自分達にも向ける真摯な態度にピリッとした気概もしっかりと滲ませます。
本作の監督の一人、五百旗頭幸男氏はその独特な苗字でピンときましたが私と同郷。辛辣なテーマを一切損なうことなく盛大に笑えるエンターテインメントに仕立て上げたセンスに触れて勝手に誇らしい気分になりました。
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