「【富山市議会議員達の”不正”を県のローカルTVが炙り出す。が、そのローカルTVスタッフも又・・。組織の恐ろしさ、人間の愚かさ、狡猾さを描き出したドキュメンタリー作品。】」はりぼて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【富山市議会議員達の”不正”を県のローカルTVが炙り出す。が、そのローカルTVスタッフも又・・。組織の恐ろしさ、人間の愚かさ、狡猾さを描き出したドキュメンタリー作品。】
◆貴方の周りに”はりぼて”は居ませんか?
貴方のやっている事は道義上、許されることですか・・? 恥ずかしくはありませんか?
ー 2016年、富山県のローカルTV局、チューリップTVが富山市市議会議員達の政務活動費不正使用問題を暴き、市議14名が辞職に追い込まれ、うち3名は詐欺罪として起訴された事は記憶に新しい。(最初に辞職した人物は自民党の県内実力者であり、自民党基盤の強い土地である。) が、正直ここまで、富山市議会自体が腐敗していたとは・・。 -
・そもそも、富山市議会の監査機関は機能していたのか?
・市長は、”私の管轄外”のようなコメントを繰り返すのみだが、本当に責任はなかったのか?
ー彼は、途中で市長の座を降りている。名目は実家の梨農家を継ぐという理由で・・。-
■呆れ果てて、笑いすら出てしまったことは数々あれど、
1.チューリップTVに不正を指摘される
2.最初は否定する
3.逃げきれなくなったら、雲隠れ、そして謝罪。
最後に、議員辞職。
・この愚かしきループがこのドキュメンタリー作品では、延々と繰り返されるのである。
・こんな事をしていた連中が、その前は議員報酬引き上げ案を議会に提示し、認められていたという事実に、更に呆れる。
彼らの感覚は麻痺していたのだろう・・。
多くの元議員が口にする”皆がやっていた・・”とういう言葉。
ー 周りの議員が知らなかった筈はないし、市役所職員も実態を知っていたのに・・。チューリップTVスタッフに突っ込まれて”上司の手前・・”と、もごもご言う市役所員の姿。 -
■一番、恐ろしかった事
・この事実を先頭に立ち、暴いた五百旗頭記者が、涙ながらに退職をスタッフに告げるシーン。 ”放送の自由を・・”
・同じく砂沢記者も、別部署(経理)に異動になる・・。
ー 何か、大きな力が働いていたとしか思えない。でなければ、五百旗頭記者の退社挨拶のあの言葉はない。
そして、今作はこの二人が監督である事実。 -
【はりぼて】
自分の実力以上に、”意図的に”様々な手段(多数の見えざる勢力の活用など)により、
自分の処遇・地位向上、何らかの利益を得ようとする”自分を大きく見せようとする”
人、もしくは組織の事を言う。
<貴方の周りに”はりぼて”は居ませんか?
貴方のやっている事は倫理上、道義上、許されることですか?
私の周りにはそういう人はいないと信じたい。
残念ながらいたとしたら、私はその人を”憐憫の眼差し”で見つめるだろう・・。
そして、私自身もいつの間にか”はりぼて”にならないようにしたいものである。
自分の常識が、世間にとっては非常識であるかもしれないという考えは、常に持たなければならない、と私は思います。>
<2020年9月20日 ユナイテッドシネマ岡崎にて、鑑賞>