「時代は1977年」ウルフ・アワー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
時代は1977年
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主な舞台はアパートの中。綺麗なお姉さんが引きこもりになると、こんな状況になっちゃうんだね~などと考えながら、いつになったら事件が起きるのかを楽しみに待っていた。
ジューン・リーは反戦活動家の著述業。1作目が「父権社会」なる小説だったが、モデルが自分の父親だと批判的にとらえられ、そのために父の会社に捜査が入り、ついには親に勘当されてしまった・・・これがきっかけで祖母のアパートで引きこもり生活。
ベトナム戦争後のアメリカの闇の部分をも描き、暴動・放火・殺人が横行しているブロンクスという設定になっている。世の中がどう変化しているのかわからない不安な状態で、唯一のニュースソースが“ウルフアワー”というラジオ番組だけだったジューン。友人マーゴ、配達人フレディ、警官ブレイクなど、登場人物も少なく、人間不信に陥っている様子も窺うことができるのです。
生活費がない!貯金は使い果たし、次回作の前借りもしているにもかかわらず、小説もなかなか書けない有様。そんな時、性欲処理のために“宅配デート”なる広告で男を呼ぶ。彼の虐げられた過去を聞き、ようやく著作活動に専念し始めるが・・・
ちょっと事件が起きるのが遅すぎるため、とてもサスペンスとは言えない。むしろ文学的でナオミ・ワッツの演技と痩せこけた体を見せつけられただけ。ただし、訴えてくるメッセージは強く、いつ起こってもおかしくない終末論のような恐怖があった。
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