「逃げ続けなければならなかった人生」FLEE フリー リコさんの映画レビュー(感想・評価)
逃げ続けなければならなかった人生
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主人公のアミンはアフガニスタンのカブールに生まれたゲイの青年。アフガニスタンと言えばイスラム主義組織タリバンが拠点とする国。
「Take on me」の歌と共に3〜4歳頃のアミンの記憶は、一寸変わった目立ちたがり屋だと思っていたが実は違った。5〜6歳にはジャン・クロード・バンタムに恋してた事はハッキリ覚えていた。高校時代を共にして、この映画を作ってくれた友達と「違う意味で僕も彼の事が好きだった!」と笑って冗談を言い合える様になって、アミンが少しづつ心を開く事に慣れて来たんだと感慨深く思わさる。
母国で同性愛者は認められず、家族の恥になるから自分がゲイであると分かっているにも拘らず、そんな自分を認めずらかった…
1989年戦争が始まり命の危険を察したアミン一家は危機一髪でロシアへ脱出したが、そこからが過酷な逃亡生活の始まりだった。
とにかく金に物言わせる腐った警察や密入国業者。大金を用意して家族を守ってくれた兄達。きっと今も尚、行方不明の父親がいかに家族思いの優しい人だったかと言う事が解ると同時に、この家族の絆こそ長年に渡る辛い逃亡生活を全うする事が出来た一番の要因だと思う。そして一番感動だったのは長兄がアミンのゲイに何となく気付いていて、何一つ咎める事無く彼を認めてくれたと言う事。
これからも一生、言ってはいけない事はあるのだろうけど、自分以外にも似た様な、若しくはもっと過酷な人達の為に、自分を犠牲にしても守ってくれた兄達への感謝と勇気を込めた唯一無二の映画だと思う。
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