GAGARINE ガガーリンのレビュー・感想・評価
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ちょっと現実離れした不思議ワールド
邦画のインディペンド系作品を、まんまフレンチ化しました!ってな感じでした。
母親に見捨てられた少年が、取り壊しが決定している団地の中に閉じこもって生活を続ける。壁が壊され、宇宙船と化した団地はS.O.Sを発信しながら少年を含む住民を地上に残して宇宙に向かう旅に出る。
局面・局地はリアリティありあり描写。現実離れ感は、多少あるけど。で、ラストに向かっては概念的に変化し、締めは夢幻感あり。邦画的やなぁ、って思いながら眺めてました。
バリケードを破って走り出したリナ・クードリに萌え!
って事で。
🎵やたら~ やたら~ やたら~
せつないのよ。
かつて宇宙飛行士のユーリ・ガガーリンが記念の植樹にも訪れた、彼の名を冠したマンモス団地は老朽化やスラム化が進んでしまい、老人や貧しい家族が住んでいる。あちこち共有部分の破損や照明の故障だらけ。ユーリという名の幼少時から宇宙飛行士に憧れてきた天文や機械に詳しい16歳の少年が思い出の詰まった団地の解体中止にわずかな希望をつなぎ、できる限りの抵抗をみせる。
ユーリの母親はシングルマザーで彼を育てていたが男が出来て玉の輿なのかバックレる。彼をひとり残して出て行ってしまった。おばさんのファリが時々ユーリの様子を見に訪れる。ユーリにはフサームという親友がいる。団地の近くに素敵な娘ディアナ(DIANA)がいるのを天体望遠鏡で見つけたユーリ。遠くから観察しているだけのユーリをフサームがからかう。ユーリは自分で中古資材を集め、それで修理すれば、団地の解体を少しでも伸ばせると願う。出ていった母親が残していった金のネックレスチェーンのロケットを廃材業者に渡して、10キロ分の蛍光灯やLED電球と交換する。DIANAも手伝う。10キロはフランス語でも、ジュキロって聞こえた。空耳?
団地の周囲には建築中の高層ビルや建設資材や廃材収集業者が多くて、ディアナ(DIANA)はメカに強く、自動車の修理ができる娘。小さい弟や従兄弟の面倒を見ながら、家族と暮らしているしっかりもの。エキゾチック。彼女は葉っぱ売りの青年にからまれた際に、ロマ族だと言い返す。流浪の民ロマ族。DIANA役のリナ・クードリ(アルジェリア出身の新鋭)に私も惚れました🤩 急いでフレンチディスパッチやこれから公開するオートクチュールも見なきゃ!
🎵Oh~ please, Stay with me.
DIANA~
しかし、お役人が棟の照明などの安全性のチェックに訪れ、結局ダメ出しされてしまい、取り壊しが決まってしまう。しかも、ユーリの母親は団地に住めなくなったユーリの引き取りを拒否(鬼じゃ)。ユーリは住民が立ち退いたあとも団地の8階に籠城し続ける。
ユーリが廃材でこしらえた宇宙基地空間が素晴らしい。すごい才能。建設現場のクレーンの運転室のディアナとの光のモールス信号での会話もロマンチック。
団地はいつかは壊されてしまい、共同体の住民もばらばらになってゆく現実。所詮人生は別れの繰り返しなのか。母親にも捨てられたユーリは浮浪児なのか。
北極星と北斗七星が映し出されると、つい小林旭になったつもりで、よーるがまーたくるー🎵 オーレの心に~🎵と歌いたくなる。菅原文太になって、一番星ブルースも歌いたくなる。
解体の日に集まって来たたくさんの元住民の人々。ダイナマイトが仕掛けられ、カウントダウンのさなか、ユーリがまだ団地の中にいると気付いたディアナ。屋上で凍え、幻覚で宇宙ステーションから離れ、宇宙空間に投げ出されるユーリの夢の映像が美しく、はかない。まるで、マッチ売りの少女が凍死するときの夢のようで、泣きそうになる。屋上で飼っている愛犬の名はライカ。ソ連のスプートニック2号に乗せられた犬と同じ名前。
船が沈む時、船長は船と共に。
宇宙ステーションに模したマンモス団地が解体される時、ユーリ船長も共に逝くのかと思うと悲しくて、泣きそうになる。
最後にまたあの曲が流れる。
🎵やたら~やたら~やたら~
やたら、せつないのよ❗
子供の頃に団地住まいの経験がある人はきっと泣くよ!
こういう作品を作った新鋭監督(ふたりの合作)って本当に素敵だなぁ。
大好きだぁ~~~~
チュッパチャップス
どうしても宣伝文に"青春"と書かれていると甘酸っぱい気持ちを体験したくなり観に行く節があります。
結果、どっち付かずの曖昧な映画に仕上がっていました。
青春映画の大きな区分として友情と恋愛が肝になってくる作品が多いと思います。実際自分もそれを求めていました。
恋愛としては宇宙飛行士を目指すユーリと弟と従兄弟と共に暮らすディアナとの恋模様が描かれますが、2人が親密になる空気は作中ほとんど描かれず、それどころか突然イチャイチャし始めてキスをしまくります。それまでに同じ作業をしたりとかの場面はありつつも途中フェードアウトしたりするので困ります。あとキスでモールス信号するのは申し訳ない事に気持ち悪いなと思ってしまいました。しかも、割とお父さんに団地から抜け出すと言われたら速攻で従ってまたフェードアウトするなど、逃避行にでもできた物語をなんでこんな歪な形にしてしまったのか、分からなかったです。
友情についてもオラオラ系の友人たちはシンプルにいじり倒してくるくらいで何かを助けあったり、喧嘩しても再び仲直りしたりなんて全く描かれません。強いてフサームが序盤からコンビのようにつるんでいますが、彼も彼で途中フェードアウトからの終盤近いところで再び帰ってくるみたいな感じなので友情の深さは全くを持って感じなかったです。
家族愛についての映画なのかな?と思ってみても、母親は違う男とホイホイしているのをメールや手紙で知れますが、割とそんな母親に執着しているユーリは帰ってくることを望みますが帰ってくることはないっていう何故この要素を盛った?と思ってしまいました。
宇宙飛行士を夢に掲げてユーリは自分の部屋を宇宙船風に改造しており、部屋では野菜を育てているという遊び心満載の部屋になりますが、そのような費用はどこから捻出されているのかという些細な問題が気になってしまいます。この部屋も逐一映されますが終盤の謎なオチにしか繋がらない、そんな舞台装置に過ぎなかった印象です。
そいでもって終盤、ここからはジャンルが完全にファンタジーになってしまい、何故か夜中に団地を爆破させようとする迷惑さもさることながら、ユーリがのうのうと部屋にいるのにそれを確認していないというザルっぷりには呆れものです。まぁユーリも宇宙に行く準備をずっとしており、何も説明する事なく、考えるな感じろを体現しているかのようでした。最終的に宇宙に飛び出してニッコリしながら終わるというなんじゃそりゃという終わり方でした。
何かを訴えるわけでもなく、何を伝えたいのかも分からずじまいの映画でした。面白い面白くない以前に映画として下手だなと思ってしまいました。
鑑賞日 3/3
鑑賞時間 13:55〜15:40
座席 L-11
最後は抽象芸術ファンタジー…。
ガガーリン公営住宅の解体にともなう住民の退去が進む。
少年ユーリは退去を拒絶し、解体される建物の中に秘密基地をつくる。
ユーリが思いを寄せるティアナは、そんな彼をやさしく見守る。
…と、ここまではいいのだが、最後はどうなったのだろうか?
建物を夜に爆破しようとしていたのだろうか?
ユーリが電源を切ったから爆破できなかったのか、ケーブルを切断したから爆破できなかったのか…。
無重力状態になり、宇宙へと旅立つのはいいが、まったく意味不明なファンタジーとなり、最後はケーブルに埋もれたユーリが救助される…。
途中、眠気がきて、最後は置いてけぼりになった。
ぜひ、劇場でお確かめください。
モールス信号、天体観測…ファンタジーを絡めた社会派映画
90分弱の作品だけど、とても冗長に感じた。
16歳の少年の静かなる強い抵抗と老朽化した集合住宅を宇宙に見立てて描いたファンタジードラマ。
幼い頃から両親と、やがて母と住み、慣れ親しんだ公営住宅の取り壊しが決まり、それを阻止すべく、共有部やエレベーターなどを仲間を誘って修理するユーリ。
恋人の元から帰らぬ母親、退去する住人や取り壊される家、孤独と不安な日々から救ってくれたのは宇宙飛行士への夢と自分が創り出した宇宙空間だった。
建物の一部をまるで宇宙船のように改造し、温室で植物を育て(有能過ぎでしょ!)住宅に残り続けるユーリ。
どうしようも無い悲痛な現実と対照的に描かれるディアナとのロマンティックな夜や天体観測。
ラスト20分は夢か現実か、ユーリは目を覚ましたのか。。。ラストは鑑賞者に委ねている。
そういえば、東京の有名な幾つかのヴィンテージマンション(有名な作家も住んでいたという)も建て替え計画がなされている。なかなか進んでいないみたいだけど、かつて自分たちが住んでいたところが壊されるのは過去が失われるのと同じほどの喪失感が伴うのだろう…。儚い作品だった。
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