GAGARINE ガガーリンのレビュー・感想・評価
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取り壊しを待つ住宅内に創造性がほとばしる
詩的で叙情的な青春映画と呼べばいいのだろうか。ただし、その手触りはちょっと特殊だ。パリ郊外にガガーリン公営住宅なるものが実在するとは驚きだが、これらがかつてロシアの宇宙飛行士を記念して命名されたものであり、その建物が今では老朽化し取り壊しの運命を待つばかりという状況には胸の痛みを感じずにいられない。ここを守ろうと立ち上がる青年にどこか「海の上のピアニスト」の主人公を重ねてしまうのは私だけだろうか。やがて誰もいなくなった団地内を、彼が宇宙船ステーション内部のように作り替えていく過程は非常に独創的だ。青年は時おり空を見上げる。それは自身の生い立ちや人生における大切なものを噛み締める行為であり、同時に、無限に広がりゆく内面世界をそこに投影しているようにも見える。後半にはイマジネーションが跳躍し思わぬ形で無重力空間が顔を出す場面も。無声映画のように台詞なく展開していくそのくだりをとても面白く観た。
自○行為
思い浮かぶは『憎しみ』やジャック・オーディアールの『ディーパンの闘い』に『レ・ミゼラブル』など本作もフランス団地映画の類かと??
まぁ不法占拠という見方も、そうなると『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』も思い出す、取り敢えず一人ぼっちな主人公に同情はするが行動に理解は出来ない、母親と住めたらこんな事にはならなかったか、アスベストに侵されて。。。
【”消えゆくガガーリン団地で一人抵抗する宇宙飛行士を夢見る僕が見つけた、思い出と光。”哀しみと再生のファンタジック作品である。】
■パリ郊外の公営住宅・ガガーリン。老朽化したこの団地にはかねてから解体の噂が流れていた。
ここで育った16歳の少年・ユーリは、大切な思い出が刻まれた場所を守るため、友人らと共に取り壊しを阻止しようと動きだす。
しかし、団地の解体が正式に決定する。
◆感想
・パリ郊外に実在したガガーリン団地。パリオリンピックが決まり、老朽化を進む中取り壊しが決まるのだが、今作ではそこを舞台に団地を愛する人々の姿や、抵抗するユーリの姿が描かれる。
・友人のロマ民族の娘、ディアナ(リナ・クードリ:今、注目の女優さんである。)は封鎖された団地内で、ユーリが生きる工夫に驚嘆するが、その日はやってきて・・。
<ユーリが残る中、解体ボタンが押されるが団地は崩れずに、”SOS"のモールス信号を発するシーンや、ユーリがガガーリンになったが如く、空中浮遊する姿やライカ犬が現れるシーンは”マジックリアリズム”と呼びたくなる詩情に富んだラストである。>
アフリカ系移民の多いフランス🇫🇷らしい物語。移民事情に馴染みが薄く...
アフリカ系移民の多いフランス🇫🇷らしい物語。移民事情に馴染みが薄く刺さってきませんでした。
淡々としていましたが決してつまらない作品ではありませんでした。
ちょっと現実離れした不思議ワールド
邦画のインディペンド系作品を、まんまフレンチ化しました!ってな感じでした。
母親に見捨てられた少年が、取り壊しが決定している団地の中に閉じこもって生活を続ける。壁が壊され、宇宙船と化した団地はS.O.Sを発信しながら少年を含む住民を地上に残して宇宙に向かう旅に出る。
局面・局地はリアリティありあり描写。現実離れ感は、多少あるけど。で、ラストに向かっては概念的に変化し、締めは夢幻感あり。邦画的やなぁ、って思いながら眺めてました。
バリケードを破って走り出したリナ・クードリに萌え!
って事で。
なんだか妄想の域を出ない感じ
取り壊しの決まった団地で
取り壊しを阻止したい青年の最後の抵抗を描いた話
団地の一角に自身の理想郷のような空間を作り上げ
最後まで取り壊しに抵抗したが、夢は叶わず……
なんだか少年の時に描いていた妄想を、そのまま映像にしてしまったような作品に感じた。
あまり、現実味を感じられず、終始共感できず、感情が置いて行かれた印象だった。
映像は綺麗ではあったけど、作られた感じがあまり良いとは思えなかった。
ちょっと期待はずれな作品。
個人的には共感できなかったけど、
幼少期に同じような夢を描いていた人は、入り込めて興味深い作品なのかもしれない。
少年は宇宙を作りそして、打ち上がった。
かなりな重力過度の状況設定だが
最後の少年のパフォーマンスが夢や願いの凝縮、濃縮そして爆発で既成概念という重さから解放され心理的大気圏の外へ出て、とても作品の気持ちが伝わってきた。
母なる地球を旅立ち、月(女性)を目指す
相変わらずの無情報で鑑賞しています。見終わってから色々と記事やらを読むと「あぁ、なるほどなぁ」が多かったですね。作品舞台となっているガガーリン団地は公営住宅。場所は大都市郊外(バンリュー)です。そしてここは移民が多く貧しい公営住宅地帯のようで、フランスにおいては問題となる郊外だそうです。そこに生きている厳しい境遇の人々(若者)を描いた作品です。
かといって、何か社会的な物語というわけではなく、ある少年の成長物語(寓話と言ってもいいのかなぁ?)・・・なぁんて思いました。
どうしてガガーリン?って思ってました。ただの団地の名前?ただの宇宙好きの少年が主人公だから?むむむーーーーって考えていましたが、「あぁ」って膝を叩きました。そか!月って女性の象徴って話を聞いたことがあります。そか!彼女は月か!少年にとっての団地は地球、不安で一人きり彷徨う彼自身ははまさ宇宙船?そしてそして準備して準備して・・・・はっはーーーん、そか!少年の巣立ちと成長のメタファーとしてのアポロ計画であり、いろんな象徴としてのガガーリン。なるほどなるほどーーーー!
・・・と勝手に解釈して腑に落ちました。
観賞後、なんだかなぁ・・・なんて思ってて、イマイチ感たっぷりだったのです、正直。チンプンカンプンやないかーーーーい!って腐っていたのですが、このメタファーに気付いた(何度も言いますが個人的見解です)時にぐんぐんと評価が上がっていきました。そして、「あぁ、あれはそういう意味か」、「なるほど!あのラストはそーいうことか!」と。なんだよー、とってもうまく見せてくれてるじゃんかよー。彼女とのやりとりもなかなかのコスミック演出。そして、社会情勢も散りばめさせて・・・あれれー良い作品じゃないですかっ!ようやくラストの展開と彼の表情が理解できた気がします。宇宙はこれっぽちも出てこないのに、妙にSF感がありました。これまた見事ではないでしょうか?
なお産地も中身も100%フランス映画です
ドニ・ラヴァンを観るために行ったので、ほとんど内容は確認してなかった。ガガーリンリスペクトの青年が取り壊しとなる我が家(公営住宅)への愛着から、ただ一人住宅に残留。次第に自宅内を宇宙船の中のように魔改造し始める。
なお、これ元々短編だったようです。恐らく一番最後の部分だけがクローズアップされていたのでは。
個人的には今年度公開された映画の中で、トップ3に入るレベルの鬱映画でした。かなり婉曲的な言い方をすれば、フランス版火垂るの墓とでも言うか。節子もいなければ、戦時下でもないんですが。
何がきついかって、恐らく20歳そこそこぽい主人公が取り壊し予定の公営住宅(つまり所得が厳しい層)の中にただ一人住んでいる。しかも自室を宇宙船のコクピットのように魔改造して気ままに過ごしている、という。
……いやこれ無理やで。
正気の客は叫び出したくなるんじゃないかなちなみに私はなりましたよ?
面白いか面白くないかで言えば、私には合わない作品でしたと申し上げるより他ございません。
フランス的なものが好きな方、デカダンス大好きな方にはきっとハマる作品かと思われます。
モールス信号で語り合う
意外にも大きな建物だったので驚いた マンモス団地なんて日本だけかと思っていたので 取壊しが迫っている現実と、夢の中みたいなISS風、プラネタリウム風空間が対照的 しかも菜園なんかもいつの間に作ったんでしょう?長く住んでるとそりゃ寂しいだろうな 月や日食の映像、最後のライティングが流星新幹線みたいで圧巻でした
想定外
42本目。
宇宙の話ではないのか?
ピカデリーのエレベーターに、色々掲示してあるけどなるべく見ない様にしてる。
実在するのは後で知ったけど、成程そう言う視点で観る作品か、想定外。
疑問はあるけど、それを思っちゃ楽しめないから止めたけど、ちょっとした冒険性だったりだけど、切なくもなる。
ある意味、メッセージを込めた作品かと。
🎵やたら~ やたら~ やたら~
せつないのよ。
かつて宇宙飛行士のユーリ・ガガーリンが記念の植樹にも訪れた、彼の名を冠したマンモス団地は老朽化やスラム化が進んでしまい、老人や貧しい家族が住んでいる。あちこち共有部分の破損や照明の故障だらけ。ユーリという名の幼少時から宇宙飛行士に憧れてきた天文や機械に詳しい16歳の少年が思い出の詰まった団地の解体中止にわずかな希望をつなぎ、できる限りの抵抗をみせる。
ユーリの母親はシングルマザーで彼を育てていたが男が出来て玉の輿なのかバックレる。彼をひとり残して出て行ってしまった。おばさんのファリが時々ユーリの様子を見に訪れる。ユーリにはフサームという親友がいる。団地の近くに素敵な娘ディアナ(DIANA)がいるのを天体望遠鏡で見つけたユーリ。遠くから観察しているだけのユーリをフサームがからかう。ユーリは自分で中古資材を集め、それで修理すれば、団地の解体を少しでも伸ばせると願う。出ていった母親が残していった金のネックレスチェーンのロケットを廃材業者に渡して、10キロ分の蛍光灯やLED電球と交換する。DIANAも手伝う。10キロはフランス語でも、ジュキロって聞こえた。空耳?
団地の周囲には建築中の高層ビルや建設資材や廃材収集業者が多くて、ディアナ(DIANA)はメカに強く、自動車の修理ができる娘。小さい弟や従兄弟の面倒を見ながら、家族と暮らしているしっかりもの。エキゾチック。彼女は葉っぱ売りの青年にからまれた際に、ロマ族だと言い返す。流浪の民ロマ族。DIANA役のリナ・クードリ(アルジェリア出身の新鋭)に私も惚れました🤩 急いでフレンチディスパッチやこれから公開するオートクチュールも見なきゃ!
🎵Oh~ please, Stay with me.
DIANA~
しかし、お役人が棟の照明などの安全性のチェックに訪れ、結局ダメ出しされてしまい、取り壊しが決まってしまう。しかも、ユーリの母親は団地に住めなくなったユーリの引き取りを拒否(鬼じゃ)。ユーリは住民が立ち退いたあとも団地の8階に籠城し続ける。
ユーリが廃材でこしらえた宇宙基地空間が素晴らしい。すごい才能。建設現場のクレーンの運転室のディアナとの光のモールス信号での会話もロマンチック。
団地はいつかは壊されてしまい、共同体の住民もばらばらになってゆく現実。所詮人生は別れの繰り返しなのか。母親にも捨てられたユーリは浮浪児なのか。
北極星と北斗七星が映し出されると、つい小林旭になったつもりで、よーるがまーたくるー🎵 オーレの心に~🎵と歌いたくなる。菅原文太になって、一番星ブルースも歌いたくなる。
解体の日に集まって来たたくさんの元住民の人々。ダイナマイトが仕掛けられ、カウントダウンのさなか、ユーリがまだ団地の中にいると気付いたディアナ。屋上で凍え、幻覚で宇宙ステーションから離れ、宇宙空間に投げ出されるユーリの夢の映像が美しく、はかない。まるで、マッチ売りの少女が凍死するときの夢のようで、泣きそうになる。屋上で飼っている愛犬の名はライカ。ソ連のスプートニック2号に乗せられた犬と同じ名前。
船が沈む時、船長は船と共に。
宇宙ステーションに模したマンモス団地が解体される時、ユーリ船長も共に逝くのかと思うと悲しくて、泣きそうになる。
最後にまたあの曲が流れる。
🎵やたら~やたら~やたら~
やたら、せつないのよ❗
子供の頃に団地住まいの経験がある人はきっと泣くよ!
こういう作品を作った新鋭監督(ふたりの合作)って本当に素敵だなぁ。
大好きだぁ~~~~
微妙
序盤は予告編どおりのヒューマンドラマだがラストはSFチックなテイストに。
ただ、その転回に唐突感があり、見ている側には刺さってこない。
また、フランス映画特有の細かいカット割りもこの作品内容には合っていないような気がした。
五輪による弊害ってどの国も同じか。
パリの公営住宅ガガーリンに住むユーリはこの団地が大好きだが取り壊しが決まり、退去が完了し封鎖される。それでもなお団地に住むユーリの話。
去年公開された『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』も五輪によって取り壊しが決まった団地の住民たちの様子を追った映画で、まさに今作もそれと同じようなことが起きてる。五輪によるその他への影響ってどの国でも同じなんだな。
でもガガーリンの場合、高齢者だけじゃなく移民や低所得者家族が狭いところでギュウギュウに住んでるのが高齢化社会の日本とは違う。ガガーリンとユーリの決別が、最終的にユーリの大人への通過儀礼になってるのもまだ希望が見える。母親や友との思い出が詰まった場所から離れ外へ出ていく少年と、一方で日本は終の住処を奪われる高齢者じゃもう絶望しかないわ。
それにこの古びれた団地をアート映画としてお洒落で洗練された建物風に映すのは日本にない感覚。どうしても日本の古い建物って描くとホラー寄りになってしまう気がする。
オリンピックがあるから古い建物を整理するというのに関わらず、最近映画でも都市再開発による問題が題材になってるの多い。『ウェスト・サイド・ストーリー』も土地の工事が決まった場所が舞台だったし、『キャンディマン』も低所得者住居だった場所を再開発して高層アパートになった場所が舞台。
こうやって低所得者が追いやられてそこに裕福な人達が住んで、でもその場所も時間が経つと古くなって低所得者層の住居になって、また再開発して、、っていうふうにどうせ巡回していくものなのでは?綺麗でも低所得者が住めるように改築してくれ〜オリンピックやるお金あるなら絶対それできるだろ。
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