「今世界はこんなでも、希望を持って生き抜け!」新感染半島 ファイナル・ステージ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
今世界はこんなでも、希望を持って生き抜け!
え~ゾンビ急行 ゾンビ急行~
…なんて呑気な事は言ってられなかった。
韓国に謎のウィルスが蔓延し、感染者はゾンビに。一体のゾンビが列車に乗り込んだ事から…!
ハラハラドキドキ、スリリング!
ゾンビ×密室列車パニック・アクションという秀逸なアイデア。
見応えあるドラマに、不意を突かれた“泣き”の要素。
さらに、マ・ドンソクという漢まで大ブレイクさせた。
日本では2017年に公開され、大好評を得た『新感染 ファイナル・エクスプレス』!(もう一つ言うならば、このナイスな邦題)
本当に韓国エンタメの面白さ、凄さをびしびし感じ取った。
前日譚はアニメで描いた変化球。そしてこの待望の続編は、ある意味、変化球で直球!
まず、話は前作と直接的な繋がりはない。前日譚アニメ『ソウル・ステーション/パンデミック』同様、別場所での始まり。
軍人のジョンソクは姉夫婦を連れて国外へ逃れようとする。が、船の中に感染者が…。姉と甥っ子を救える事が出来なかった。
韓国は各国から見放され、荒廃し、4年が経った…。
香港に逃れ、落ちぶれた生活を送るジョンソク。そんな彼に、ギャングからある仕事が舞い込む。
韓国に置き去られたトラックから、大量の米ドルを回収してくること。
この危険な仕事を引き受け、ゾンビだらけになった韓国へ戻るのだが…。
今回は“感染半島”となった韓国でのサバイバル。
でも、サバイバルはサバイバルでも、あれ? 前作みたいな列車内サバイバルじゃないんだ…と、そう思った人も多い筈。
言うなれば、『ダイ・ハード』がビル内アクションだったのに対し、『3』はNY全土で繰り広げられたみたいな。
なので、前作と異なるテイストが“変化球”。ゾンビ・サバイバルは王道的で“直球”。
結構賛否分かれてるみたいだけど、自分はこれはこれでなかなか面白かった。
シリーズ物はテイスト一貫も好きだけど、その都度テイスト変わるのも嫌いじゃない。(あくまで、作りが巧いものに対してだけど)
それに、前作とは違う要素、ジャンル、同じく面白みに感動も、今回もたっぷり詰め込み!
トラックはすぐに見つかったが、謎の急襲が。それにより、ゾンビたちに襲われてしまう。
一緒に来た仲間たちとも…。義兄とも離れ離れに。
孤立し、あわやゾンビに!…という所を救ったのが、何と車に乗った幼い姉妹。
姉は“ワイルド・スピード”なドライビング・テクニックで、次々ゾンビどもを轢き倒す。スッゲェ…。
ジョンソクが出会った家族。この姉妹、祖父、そして母親ミンジョン。
ジョンソクは、ミンジョンに見覚えあり。実はかつて…。
ジョンソクらを急襲したのは“631部隊”。
かつては民間人を救う部隊だったが、この地獄と化した韓国で、野蛮な狂人武装集団に。
彼らに囚われてしまったジョンソクの義兄。
彼らの“お楽しみ”である鬼ごっこに参加させられる事に。
これが、もう本当に背筋がゾッとし、身の毛もよだつほど恐ろしい。
こんな世界で生きてたら、人は本当にここまで異常に狂うのか。
ヨン・サンホ監督は『新感染~』でも『ソウル・ステーション~』でも描いていた。
ゾンビも恐ろしいが、本当に恐ろしいのは、人間。
今回その象徴は、2人。
631部隊の軍曹、ファン。人を殺す事も躊躇わない非道な人物。
同じく、大尉のソ。こちらは腹黒い。
ちなみにこの2人、仲が良い訳ではない。と言うか、かなりお互い嫌い合っている。ここでも、ネチネチドロドロした関係が…。
それに対し、ミンジョン家族の逞しさ!
こんな終末世界でも生き抜いている。
2人の娘の為に、ミンジョンはジョンソクと協力して、韓国を脱出しようとする。
その後を追うファン。さらに、ソも。
ジョンソクが韓国に戻った序盤から銃撃や格闘などアクション・シーンがたっぷり盛り込まれているが、最大の見せ場が、このクライマックスのカー・チェイス!
荒廃した街中を、爆走。銃も乱れ撃ち。勿論、ゾンビも襲撃。
もう、ド派手でスゴ過ぎ…。
すでに例えられているようだけど、気分は『マッドマックス』!
…いや、『ゾンビ』×『マッドマックス』と言うべきか。
両方が好きな人には堪らんでしょう。
この監督は見たいものを惜しみなく見せてくれる。
ド派手なアクション、人の欲、そして…。
劇中、ああ間違いなくこの人物死ぬなぁ…と思った人物は、かなりの確立で死ぬ。で、分かっていても、そのシーンは目頭熱くなる。
“ジェイン”の登場シーンなんかも思わずニヤリとしてしまった。
そして、ラスト。
感動盛り上げ過ぎ。作り過ぎ。
確かにそうでもある。
でも、いいのだ。
このシリーズは、このベタさ、面白さ、感動がぴったりなのだ!
採点にはちと悩んだ。
『新感染~』が4なので、あちらが好きなので、当初はやはり3・5が妥当かと。
でも見ていく内に引き込まれ、どんどん自分の中でも盛り上がっていって、先にも言ったように、これはこれで面白い!
それに、
2年前に見ていたら、ただの“映画”だったろう。
が、未曾有の事態に襲われた世界。今。
長女の台詞…「私が居た世界も悪くなかった」
そんな世界にも希望はある。
胸に響き、『新感染~』とは違う良さで、4採点!
また別の視点で第3弾を見てみたい。
次はどんな作品に…?
列車内、韓国全土と来たから、次はいよいよ、
『新感染大陸 ファイナル・ワールド』…とか?