アナザーラウンドのレビュー・感想・評価
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国民の意識の違いもあるのかなあ。 デンマークの国民性 アルコールに...
国民の意識の違いもあるのかなあ。
デンマークの国民性
アルコールによる良い面と悪い面、それぞれユーモアを交えながら描き、
主人公の心の葛藤も含めて
アルコールによる
人間の本質と
中年男は必見?
アナザーラウンドって、飲み屋で「もう一杯!」という意味らしく、今度海外旅行に行ったら使ってみよう。いつのことになるか知らんけれど…
うだつの上がらない高校教師が酒の力を借りて生徒の支持も得て上手くいきだすが、もっと酒の血中濃度を上げたらどうなる?
そりゃ上手く行かないよねて感じなんだけれど、マッツ・ミケルセンのダンスが素晴らしいハッピーエンドがよくて、人生色々あるけれど、前向きに生きていくって大切だよなと元気をもらいました。
最後に説明があって知ったのですが、デンマークでは16歳から飲酒が認められているそうで、劇中にも呑んだくれが多いというセリフがあったから、アル中も多そうだけれど、飲んだら乗るな、酒は飲んでものまれるなを守って、上手に付き合っていきたいものですね。あー、酒が飲みたくなってきたなぁ。
途中、調子よくなったと思われた展開が面白かった。ラストの卒業シーン...
途中、調子よくなったと思われた展開が面白かった。ラストの卒業シーンにつながる。しかし、そもそもなぜ主人公が調子悪かったのかとかストーリーはよく見えない。でも、酒が人にパワーを与える記述は面白かった。
北欧の至宝に酔う
酒は飲んでも飲まれるな
とは まさに、言い得て妙だ。
筆者の祖父は飲むと人が変わったように暴言を撒き散らかす酒カスだったので、飲酒に良いイメージは微塵もない。
だが、マッツは別格ですよ。
ほろ酔いから酩酊まで演技分けされた俳優陣の演技は素晴らしい。
マッツに踊らせようとシナリオにダンスを組み込んだ監督に拍手喝采。
ストーリーはお酒が題材と言う時点である程度の予想はつく。
でしょうねって結果ですが、それと相まっての人間模様が良かった。
夫婦関係や友人関係、職場関係など、飲まないとやっていられない現実は沢山ある。
酒は百薬の長と言うが、適量にと言うのが絶対条件だ
何事も過ぎれば毒だ
酒飲みの言い訳が万国共通だと言うことが良く分かる一作。
マッツ・ミケルセンが「全く華のない」中年男性を演じた本作。酒飲みの言い訳は洋の東西を問わず同じ、ということを実感させてくれます。
しがない中年教師達が、「血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく」という(かなり都合の良い)論理にすがって、実験(単なる職場飲酒)してみよう、となるのだが…、というあらすじから大体想像が付くような展開に。
ジャンルとしては「コメディ」とのことで、確かに単なる飲酒を、まるで科学的検証であるかのように言い合っているところは笑えるんだけど、飲酒の歯止めのきかなさ、そしてそれによって崩壊していく人間関係…、といったところまで至ると、もはや笑っていられなくなります。とはいえ終盤までは、大きな起伏もなく、笑いといたたまれなさを織り交ぜた人間関係が丁寧に描かれていきます。
終盤、ある事件が物語に大きな波紋を作り出し、そこで描かれる人間模様は感動的な部分もあるんだけど、これまでの経緯を考えると、これを「いい話」にして良いのか…、と、この部分だけちょっとひっかかりました。
インテリアはもちろん、食事も「ザ・北欧風」で、をお伴に舌鼓を打つ様子を見ていると、作品のメッセージとはまるで逆に、一杯引っかけたくなります。論文執筆に使うワープロソフトも、黒バックに白文字のみ、というこちらもみごとなミニマリストデザイン。使ってみたい…。
お酒は適量を
身近にアルコール依存症を見てきた立場からすると、酒量を増やしていく姿にハラハラした。酒量ふえて知らず知らずのうち健康を崩し依存症になることだってあるし、そうなったら今作みたいにエモくいられるほど甘くはない……。
そんなわけであまり作品に没頭することができませんでした
ほろ苦く 爽やかな余韻
アナザーラウンド 原題「Druk」
どういう意味か分からない。映画の内容と合っているか分からないけど、あまり良いタイトルではない気がする。もっと 他に気の利いたタイトルは無かったのだろうか?
先日 人生初のデンマーク映画「わたしの叔父さん」を観てたが、偶然にもまた同じデンマーク映画を観る機会を得た。
先ず、感じたのは、
これぞ、外国映画を観るって こういう文化的?価値観を知る事だ!ということ。
高校教師4人が、ある論文の検証をしようとするのだが、多分日本人には到底考えられない(笑)行動だろう。
立場が立場だし、飲酒して授業するなんて!!
しかも、デンマークでは16歳から飲酒(買うことも)認められているとは‼️
でも、そんな彼等が、飲酒に拠って、一時的にでも…精神的に軽やかに明るくなって生徒達にとって魅力ある先生になって行く姿は 頼もしく楽しかった。
でも…そんなには上手く事は済まされないのだ。
失敗も…悲しみも…当然起きて来る。
でも…彼等は飲む事を辞めない!
デンマーク人は酔っ払いばかりと主人公の妻が言う 通りなんだろう。
この映画のテーマは なんだろう?よく分からないけど、ある意味カルチャーショック(笑)が 面白かった。
今年の米アカデミー賞の外国映画賞受賞作品。
日本人では考えられない内容だったし、日本の社会では、もしかして悪影響?を心配する(笑)方々がいて、広くは公開しにくいだろう。けど、知らない世界を観たような興味深い映画だった。
チャーミングで哀しく、でも…愛しき酔っ払い達よ!ほろ苦く、爽やかな香りがする、そんな映画だった…
デンマーク…もっと知りたくなった。
飲兵衛の生態
いや、こんなんで論文なんか書けないってw
国際長編映画でアカデミー賞受賞なんですか?イヤ、もう、アカデミー賞の権威もへったくれも無いんじゃね。ってのが一番の感想。
このストーリーは韓国人に撮らせたら、間違い無く面白いと思いました。
個人的には、深さを見出せなくて、いまひとつでした。と言うか、腰が痛いよ、サロンシネマ1のシート。3本連続で見て、腰をやられたw
今日は11月の出遅れ分をキャンセルしたいので、あと一本!
アルコールで仕事の能率を上げるという無謀な実験に挑んだ教師達が辿り着く景色がグッとくるデンマーク産トラジコメディ
高校で世界史を教えているマーティンは授業がつまらなすぎると受験が迫っている生徒達と保護者がクレームを受けてボコ凹み。マーティンと同じようなモヤモヤを抱えた3人の同僚はノルウェーの哲学者スコルドゥールが提唱している「血中のアルコール濃度を0.05%に保つと想像力が向上し仕事の能率が上がる」という説を自分達で実践することに。そうするとたちまち生徒達との関係も改善しどんどん仕事が楽しくなってくるが、当然ながらその実験は次第にエスカレートしていって・・・。
冒頭でさりげなく触れられている高校生までが手軽に飲酒できるデンマークのお国柄にまずはビックリしましたが、アルコールの摂取によってどんどんハメを外していく様は万国共通のもの、その目も当てられない悲惨さは自分も星の数ほど見てきた光景ですが、この映画のすごいところはたいていの酔っぱらい映画が描いてきた結末とは全く次元の異なるものを提示していること。アンデルセン作詞の『デンマークに生まれて』がグサッと胸に突き刺さる、これには下戸の私もグッときました。
オサケ好きには感じるものが必ずある
飲酒を肯定してもいるし、否定してもいる。
もしくはどちらもしていない。
酒を飲む人間にしかわからない楽しみと、常につきまとう問題。
この2つを絶妙なバランスで描ききった、巧い1作。
酔いが覚めました。今日も飲むけど。
デンマーク愛
アカデミー賞の、授賞式でトマスビンターベア監督が話したスピーチがとても印象に残っており、公開されたら必ず観に行こうと決めていました。
公開期間にタイミングが合わなかったのですが、たまたま期間限定で上映されている映画館があったこともあり、無事スクリーンで見ることがでしました。
作品はドキュメンタリーのようなデンマークの日常を切り取った内容で、アクション系など刺激を求める方には物足りない所もあったのかなと思います。
しかし、平凡な教師を演じるマッツと、その教師仲間達の血中濃度を検証する実験は、見ているうちにどんどん惹き付けられるものがありました。
何気ない毎日の中で誰しもが抱える葛藤や悩み、その中で懸命に生きている人々。まさに人生とは、生きるとは?を考えさせられる作品でした。
リアルな日常を陰影効果を使いながら写し出している所や、登場人物の内面を表しているような音楽(ピアノ)の使い方が絶妙だと感じました。
そして、ラストのマッツのダンスにはこの作品に関わったすべての人とデンマークへの愛がとても感じられました。
母国を愛する力が一つの作品になり、明日への活力になる。当たり前だと思っていたことが制限され、新しい生活が求められる世の中だからこそ、何気ない日常へ目を向ける機会をもたらしてくれた、そんな映画だと実感しました。
ラストだけ最高だった(他はまあまあ面白い)
よく考えたらかなり笑えて、説得力のある映画だと思う。ザ・中年の危機といった感じの主人公が序盤で自己憐憫から涙を流すシーンが可笑しかったし、酔って顔面にケガして路上で寝て発見されるシーンも笑ってしまった。子どもでも飲酒するデンマーク社会を自嘲している印象も受けた。一方で、アルコール依存症の切実な描写もあり、ズドンと突き落とされたかと思うと、かっこ悪いけど大切な友達という存在に後押しされて、夫婦の危機を克服したり、若き心を解放してモダンジャズで踊り狂ったり…地味でしみったれた人間模様だけどなんとも普遍的な物語に思えた。
大人の男達の実験
体内の血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事などの効率が良くなるという論文があると、友人の誕生日を祝う飲み会でその仲間内の一人が言い出し、仕事や家庭内でなかなかうまくいってなかった主人公が、活路を見出すためにそれに取り組むことを決意して物語は進んでいきました。
最初はなかなかいい結果が出ていたのですが、次第にアルコールの摂取量が増えていくと思わぬ方向に行ってしまい…
デンマークでは16歳からお酒が飲めるというのは知りませんでした。主人公の妻が劇中で言うように、デンマークの多くの人たちは呑兵衛が多いとのことで、客観的に見ている限りは適度に楽しむ分には楽しそうだなと思いました。
キルケゴールの言葉が引用されたりしてましたが、失敗した後にいかにそれに向き合って再び進んでいくのかがとても重要なんだなとこの映画を見ていて思いました。実験しつつ、失敗したらそれを振り返って学んで、新たに歩んでいく。
今までデンマークの映画はあまり見たことはありませんでしたが、国の慣習や文化、法律の制度の違いなど新しいことを学べてとても面白かったです。また、主人公の家の中や家の周囲の景色などが美しくて良いなぁと思いました。
デンマーク国歌って美しいんだね
昔取引先に訪問するのに緊張を解くためにビール一杯引っ掛けて行ったことがある。確かに会話はスムーズだったがそれほど盛り上がったわけでもなく、むしろ終わってからすごく疲れたことを覚えている。今思えば結構酒臭かったんじゃないかな、分解酵素の少ない日本人だし。
007の悪役が演じるコメディってどんなかなと思って観たけど、これはコメディではないな。仲間が犠牲になって決着するという中高年の鬱屈した悲劇であった。身につまされるわ…だがこのミケルセンさん、かなり奥の深い俳優だということが分かって収穫だった。さらにデンマークの国歌があんなに綺麗な曲とは。うーん北欧文化深淵なり。
ミケルセンがイケオジ過ぎます!
「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる。」
中年の高校教師4人(とても仲良し!)がその仮説を検証するべく飲酒をする。
お酒飲みには身につまされる体験の数々。ちょっとでやめとけば良いのに、やめられずに失態。自分は隠れて飲んでるつもりが、周りにはバレバレだったり。
ほかの方のレビューにもあるとおり、高校生がはしゃいで飲むお酒と違って、楽しいだけではない、切ない中年のお酒。とても分かります。人生、結構、大変です。
要所で流れる音楽や合唱も胸に沁みました。
そういえば、昔、就職試験の面接試験前に、お酒飲んで行きたいなぁ、と思ったことを、思い出しました。
何を感じれば良かったのだろうか
冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、血中アルコール濃度を0.05%に保つと仕事の効率が良くなり想像力が増すという理論を証明するため、実験をすることにした。朝から酒を飲み、常に酔った状態を保つと授業も楽しくなり、生き生きとし、生徒たちとの関係も良好になり、良い方向に向かっていくと思われたが、実験が進むにつれて次第に飲酒に制御がきかなくなり・・・という話。
アルコール依存症になって死ぬ奴が居たり、嫁に逃げられたり、ラストのダンスもなんだかよくわからなかった。
ワイン醸造所にいたこともあるきりんです。
黄桃の桃缶を開けた。
ブリキの缶に沈む黄色いお月様。
今夜のお酒は、大好きなあの桃缶の甘いシラップに、氷と炭酸水とジンビームをステアしたもので。
お酒が入れば つらつらと、よもやま話はとめどなく、今宵のレビューの行く先は、さあさ楽しき一人語り♪
・・・・・・・・・・・・
さて、
【 ちょっとだけアルコールの力を借りたい 】
って願うこの映画なんですよ。
わかるなぁー。
すごくわかる。
僕は、
僕にぴったりのいいカウンセラーや精神科医に出会ってみたくて、過去いくつもの扉を叩いてみています。
でも、中々いないですね。相性の合うカウンセラーって。
人の生死。苦悩。臨終にがっつり四つに組み合う仕事を、かつてやっておりました。
緊張しいの僕。慎重で完璧主義で疲れやすいのです。
「『ほんのちょっとお酒が入った感じで、心も体もリラックスできて、いくらか滑舌も良くなり、相手の欠点にも無理なく目を瞑れて、自他共に笑顔で和やかになれる前向きなお薬』なんて物はないんでしょうか?」とドクターにmedocineをリクエストしてみたこともあるのです。
注文が多すぎたでしょうか?いや、まだまだです。リクエストに更に付け加えてそのお薬の“アルコール濃度(効き目)”や“効能(味わい)”の希望も伝えます
「抗不安薬や抗うつ剤のような精神弛緩剤ではない物。頭脳明晰で、かつラッキーになれる、そんな上げ上げ気分をもたらしてくれる覚醒剤的なものを見繕ってよ」とマスター(医者)にカクテルを頼んでみたのですが
=これ、ミケルセンたちが試みたアルコール効果ですよね=
しかし、
あれこれ試してみてはダメ出しの連続。
結局「きりんさんご希望のそんなお薬はないんですよォ・・」との回答でした。
てか、どのドクターやカウンセラーも、 ご自身が苦難の最中におられるようで、まるで例外なく病人の面持ち。
なぜお金を払っているこちらが医者たちの悩みを聞いてあげる羽目になるのでしょうか。タメイキ。
「大丈夫ですか先生、ちょっと薬飲んで休んだほうがいいんじゃないですか」と何故僕が言わなくちゃならない?(笑)
結局望みの物(ブツ)は得られませんでした。
身を任せ切れないのは、カウンセリング学をかじった者の悲しき弊害であるかもしれません。
苦笑いでそれを報告すると「プロに金を払うより、友だちに話すほうが元気になれるんだよ~」と従兄妹(医者)のアドバイス。
これ、至極ご名答なのかもしれません。
ああ、なるほど、
◎本作映画「アナザーラウンド」は、ストーリーの主人公はお酒ではなく人間です。
お酒の味わいよりも「友だちの有難味を味わう」、まさにそのための映画でしたね。
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【友だち】
男たちの友情。この映画は大人のスタンド・バイ・ミー。
誕生会の席で、
“ミケルセンの異変”に気付いた同僚たちの、この付き合いの良さったら!これを親友と呼ばずして。
ストーリーが散漫にならずに堅実に進行するのは、ひとつの学校が物語の舞台となり、同じ職員室で声を掛け合う教師たちの、共有課題のエピソードだったから。
それぞれが専門とする哲学と、文学と、歴史と、音楽を、ごく自然に酒の席でも話題として交換し合えるし、
そこに心理学や精神医学も加わって、子供っぽいお遊びの実験を思い付くわけですよ、
「苦悩する自分たちを治験台にして『0.05%説』の有意性を確かめる実証実験をみんなで論文にまとめてみる」、
・・この前半のコミカルさが良いんですねー
チャーチルとヘミングウェイの酒の効用。
酒に溺れなかったヒトラーの件。
そしてエリツィンやらクリントンやら、
「各国首脳の飲んべえたち 御失態のアーカイブ映像」が挟まれていて、これは視聴覚教材としても秀逸!スクリーンに映る偉人たちの酩酊ぶりに館内からも笑いが。
「学校物」のうまい使い方。
前半はコミカルに。
後半はシニカルに。
しかし教師たちの悩みは教室の中だけにとどまっていた訳ではなくて、それぞれが会社を終えて退勤した後にも妻子との時間が苦しくて、実年世代相応の悩みに苛まれていた訳で。
それゆえ
“アルコール実験”は、教室では上々の出来であったにもかかわらず、実生活や家庭に於いては実験は大失敗。
中年男たちの惨劇も観せてもらいました。
・・・・・・・・・・・・
【デンマーク探訪】
コロナウイルスのおかげで移動自粛の時代。
もちろん海外渡航にも様々な制約があり、外国への旅行はほぼ不可能だったこの2年間でした。
モンゴル、ブータン、中国、チベット、モロッコ、イスラエル、ドイツと、これまでマイナーだった世界中の国から送られてきたフイルムで、映画で旅を味わう楽しさも知りました。
劇中で、
愛国歌「デンマークよ」と、「デンマーク国歌」が繰り返し歌われます。(愛国歌は高校の音楽室で。国歌はチビッ子たちのサッカー場と葬儀の式場で)。
高校生たちのはっちゃけシーンのBGMも、デンマークのバンドのもの。
本作、デンマークでの
・夫婦&家庭問題、
・PTAの教育問題、
・ホルモンバランスも崩れ始めた壮年たちのメンタル、
そして
・飲酒。
故国「デンマーク」にフォーカスをして、郷土への愛を惜しみなく注いだ、この映画の制作陣の“ふるさとへの想い”が実によく伝わってきましたね。
キルケゴールの冒頭の名言
「青春とは? 夢である。愛とは? 夢のなかのものである」、
によって、過ぎ去った青春への憧憬と、若者へのいつくしみを語り、
そして自らの過ちの経験からの、回生への招きを人々に語りかけるキルケゴール。
⇒失敗したときに大切なのは「自分の不完全さを認めること」。そうすれば「他者と人生を愛することができる」、
― この金言が静かに提示され、
人生の揺らぎと喜怒哀楽、お酒のほろ酔いと覚醒が重ねて描写されていったのは、とても面白いプロットでした。
・・・・・・・・・・・・
【でも決して明るくはないエンディングですよね?】
プロットは面白かったのです。
けれども何かしら、体育教師トミーの(予測されていたけれど)残念な死に様や、妻からの復縁希望(=男に都合良すぎるメール?)にも酒がまとわりつくし、
あのラストのミケルセンのダンスにもあまり“解放感”が感じられない。どこかしら逃れられない死とか、離別とか、挫折への「不安からの逃避のための酒」を少し多めに感じさせるエンディングであったような。
そんな気がしました。
【喪服だ・・】
そしてここまで書いてきてハッと思い出したのは、
・そもそも体育教師トミーは、あの晩の誕生会でのミケルセンの涙を見て、親友ミケルセンの結婚の崩壊と離職を食い止めるために、あの「酒飲みゲーム」に参加したのであったということ。
・そしてトミーはゲームにはまり、アルコール依存症から抜け出せなくなり死亡したという結末。
・トミー最期の言葉は
「俺はお前らマーティンとアニカを愛している、きっと二人はやり直せる」だったこと・・
葬儀の帰り道、黒い喪服でジャズバレエを踊るミケルセンは、悔悟と、友人への限りない感謝を込めて、トミーの死んだ海に向かって踊るのだから。
やはりね、
北欧ならではの日照量不足ゆえなのでしょうか?
0.05%をあっけらかんと持続させるような能天気なハッピーエンドではなかったなーと思うのです。
季節性うつ病(※)や自殺者も少なくないあの国での、答えの無さ感は
苦いアブサンや、“酔い醒めの空虚感”も舌の上にザラっと残るような、鑑賞後の後引きでした。
(※ちなみに阪大病院では「(元気になりたいのならアルコールではなく)朝の光を浴びなさい」と言われました。「光療法」です)。
・・・・・・・・・・・・
【キルケゴール】
それらこれらを踏まえた上で、
最後に言ってみたいのは次のこと。
勇気をもって、いろいろな手段・ツールをもって(そこにはアルコールやmedocineの力を試してみることも含めてもよい)、人生の思いがけない新しい展開を掴むために、インスピレーション発見の可能性を探るために ❰冒険❱をしてみるのは無意味ではない、ということ。
酒が人を救うのではない、
❰冒険❱こそが人を救うのだということ。
♪
弱い人間の挫折や揺らぎを肯定しつつ、飽くなき前進を勧める実存主義者セーレン・キルケゴール。彼の思想のエッセンスが、この映画全編に香る。
逸品でした。
「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前を向いてしか生きられない」。
「自己自身を選ぶための戦い、その獲得の行為を表す言葉、これが悔い改めである」。
Søren Aabye Kierkegaard
甘い桃のシラップに、ほろ苦いバーボンが旨いです。
きりんの独りがたり、お粗末様でした。
もっとライトなコメディ想像してた
意外とヘビーな内容だった。中年たちが我を忘れてキャッキャはしゃいだり自分の体がコントロールできなくて苦しんだり人と心が通じたり通じなかったり、終始共感できる描写。でもいろいろ総括すると、お酒はほどほどにねって映画。
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