劇場公開日 2021年9月3日

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「世にも珍しいデンマーク映画+珍しい話題を扱った内容。」アナザーラウンド yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5世にも珍しいデンマーク映画+珍しい話題を扱った内容。

2021年9月4日
PCから投稿

今年113本目(合計177本目)。

私も今年100本以上超えましたが、デンマーク映画は初めてです。ネットで探しても余りない類型みたいです。
日本では「アナザーラウンド」(もう一杯)というタイトルですが、表示されるタイトルは全然違います(英語の drink はゲルマン語系(ドイツ語系)ですが、それと関連性あり?調べてもわからず…)

また、北欧の国でヴァイキングの歴史もあるので、日本と違ってお酒に関する文化が違い(飲める年齢の下限が異なる等)、さらに「血中アルコール濃度を一定にするという実験を行うと何が起きるか」という、かなりレアなネタを扱った映画。

一見すると、そのような内容なので、「アルコールの飲みすぎはやめましょう」「飲酒運転はやめましょう」という趣旨にも読めますが(そのように読むことも可能)、おそらく多くの方が書かれている通り「家族愛」「アルコール依存で失うもの」というテーマがもっと上位のテーマにあるのではないか…と思います。

内容の展開自体は非常にわかりやすいし、展開も非常にわかりやすいので(ストーリーの区切りごとにチャプターごとに分かれる)何が何だかわからないという類型はないかな…という一方、現在、多くの都道府県で「飲食だけはOKだけどアルコールは(時間を問わず)映画館ではダメ」という扱いで、このご時世なので他の映画の公開スケジュール等勘案するとずらしようがなかったのだと思いますが、趣旨的に「(大人は)飲みながら」鑑賞するという趣旨も可能で(もっとも、映画館でアルコールを買うとものすごく高い…)、時期を逃しちゃったかなぁ…という印象です。

趣旨的に一見すると学術系映画にも見えますが、お話自体は架空のもの。とはいえ、実際にそう実験すれば同じようになるだろうということは想定可能な範囲です(人種によってお酒の強さ弱さは違うので、日本人が同じように真似をすると危険)。

採点ですが、「複合的に」下記が結構気になりました(混乱する要素がかなり多い)。

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 (減点0.5/すべてまとめて)
  ・ 映画内では「現在の血中アルコール濃度」は、字幕ではなく映画内の画像として表示されます。これに字幕がつくのですが、数字なのだから同じだろうと思いきや、日本ではあまり見ない表記方法だったりします。

 日本では「割合」を表すときには、よく「パーセント」を使いますが(百分率)、「千分率」を表す単位「パーミル」(‰)があり(日本では、使われるが範囲が限られる)、映画内ではこちらが使われています(字幕では%に変換されているため、10倍の差が生じる)。また、日本では小数点を表すときの単位は "." ですが、この映画を含め、カンマ "," を使う国もいくつかあります。
この説明が何もないため、一見すると「実質同じことを字幕に書いてどうするの?」と思いきや、実は単位系が違っているとか、油断すると理解に妨げが出ます。

 また、舞台はデンマークです。日本では高校世界史では登場しますが、実質的に「カルマル同盟」「三十年戦争」「(大)北方戦争」くらいではないか…と思います。一方で主人公は学校の歴史の先生なので、話される内容がかなりマニアックです(何度か登場する思想家のキルケゴールって、日本の高校世界史に出てくるんでしょうか…?)。その割に、さらにデンマークのキリスト教文化を前提にする内容まで登場して結構、理解難易度は高めです。

 さらに、この映画自体はPG12という扱いです(R15でもR18でもない)。日本ではアルコール飲料は「普通は」大人しか買えませんが、アルコールを含むお菓子はいくつかあります(よくある、リキュールを含むチョコ。法律的な縛りはないが、コンビニ等ではコンビニ判断で子供には売らないこともある。また、縛りとは別に「食べ過ぎると運転等に影響を及ぼすことがあります」等と書いてある)。

 すると、血中アルコール濃度は、「体重」と「アルコール度数」、さらに「その服用頻度」で決まりますが(厳密には、少しずつ下がっていくので、服用後1時間後、等と時間を決めないと一意に確定しない)、こういうチョコレートは度数4%ほどなので、単純計算すると10本程度(消費税抜きで2000円程度)で一般的なビール1本分換算で、一応にもPG12扱いですが、子供が真似をすると危ないかな…というのは強く思いました(この点について注意書きは映画内で一切存在しない。子供がこの手のお菓子を買うことは日本では何ら禁止されていない)。

 ※ かつ「血中アルコール濃度」がテーマで、「個別具体的なアルコール飲料の度数」はまったく出てこないので、主人公たちが飲んでいるアルコール飲料の度数も不明です(前述した通り、デンマークはヴァイキング文化があるため、日本と異なる度数の飲料が普通に売られていると解釈することも合理的で、「日本でいうとどのくらいの話なのか」という点も出てこないので(かつ、それを調べると、医学部や看護学部の学生向けの勉強サイトばかり出てくる。どうも換算式がある模様)、「映画を見てみたっきり」だと、趣旨的に危険かなぁ…というのは強く思いました。
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yukispica