劇場公開日 2020年10月9日

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「二人なら地獄へでも」本気のしるし 劇場版 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0二人なら地獄へでも

2020年10月10日
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説明不可、究極の共依存。こういう人たちを"めんどくさい"とかと言って切り捨てるのはきっと簡単だ。だけど、きっと…。本作を語る上で"依存(関係)"とか"メンヘラ"とかという言葉を出すこともできるだろう。ただ、作中で描かれているように、それは誰にでも訪れ得るものだ。例えどれだけ強く見える人にも。《差異を伴う反復》や、印象的な小道具使い(= ex. 玩具、車、踏切)がすごく上手くて、そうした作品のテーマを効果的に浮かび上がらせていたと思う。おかげで見る前は「共感度0?!か」と思っていたら、思ったよりよっぽど共感している自分がいた(主に辻と細川先輩に対して)。
どうしようもない二人が地獄に落ちていく様 --- どうしようもない男・森崎ウィン × どうしようもない女・土村芳。二人の演技が良い。主人公・辻は社内恋愛禁止の玩具・花火メーカーに勤めながら、先輩と後輩、その両方といい感じになっているという恋愛面でだらしなく、来る者拒まず(= 相手を沼らせるのが上手い?)的な共通性を持ったキャラクターとして描写されている。その一方で優しく、だらしなくどうしようもない人を見ると助けずにはいらないという憧れ性もしっかりと持っている。例えば去年の『愛がなんだ』とかもそうであったように、どうしようもなく割り切れないことってやっぱりある。観客に何人かお笑いオジサンがいたとはいえ、実際笑えるシーンも割とあって、その辺は幾分かTVドラマ的取っ付きやすさも加味されているのかななどと感じた。特にヤクザまがいの脇田が最後までいい味出していた。作中で気まずいシーンや展開になると、心のどこかで細川先輩来いと思っている自分がいた。それくらい最高。みっちゃんはヤバいやつすぎる。
お金は必ず返します --- 女は走り、男は追う。深田監督ってやっぱりスゴい。4時間もあるにも関わらず(間にインターミッションがあるとはいえ)眠くならなかった。峰内の登場辺りを境にして作品後半から終盤にかけて、辻(←→細川)と浮世(←→峰内)と似た構図で展開されていくのも示唆に富み面白い。他人に迷惑をかけるなんて分かってる。でも…愛してる。

勝手に関連作『寝ても覚めても』『愛がなんだ』

今年映画館鑑賞54本目たぶん

とぽとぽ