劇場公開日 2022年7月15日

「長大で饒舌な予告編」キングダム2 遥かなる大地へ keithKHさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5長大で饒舌な予告編

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

周知のように、今も連載中で単行本が65巻を数え、更にNHKでアニメ第4シリーズが放映中の大ヒット漫画の実写映画化の第2弾です。前作が57.3億円の興行収入を上げて2019年の実写映画1位となって映画も大ヒットし、日本アカデミー賞4部門の最優秀賞を受賞した作品だけに、続編の本作も人気も評価も上々のようです。

ただ前作が物語の壮大なスケール感、広大な空間でのストーリー展開に、広壮な大平原・山河襟帯、そして巨大な城塞を、俯瞰仰瞰を駆使した映像描写による圧倒的迫力に震撼させられ、真に映画館で観るに値する作品だったのに対し、総体的に迫力不足の感を禁じ得ません。
また前作の格闘アクションが、剣と剣による生身の肉体と肉体の壮烈な激突に仕上がり、而も現れる敵が皆悉く、並外れた剛力と敏捷性を発揮して、緊々と押し寄せる激烈な必死の迫力に溢れていたのに対し、本作では、“個"対”個“のアクションは殆ど無く、集団戦闘が延々何度も繰り返され、どちらが強いのか弱いのかが良く分からない印象がします。
実際の戦争で特定の個人の能力で帰趨が決せられることはあり得ないでしょうから、リアルな戦闘描写かもしれませんが、長々と映される集団の戦闘シーンは観客にとっては退屈です。

あまり捻りのない集団戦闘シーンが繰り返されるのはシナリオに工夫がなく、Part1に比して、あまりにもストーリーに変化がありません。並外れたユニークなキャラクターも現れず、どんでん返しもない、特に伏線もない単純なパターンが延々と続き、かなり飽きがきた、漸く残り20分くらいでストーリーにやや変化が出て、急にクセのある登場人物が次々と登場し、目を瞠らせます。
但し、物語全体を一変させるような展開にはなりません。

エンドロールが終わった後に、かなり変化に富みユニークな登場人物も揃ったPart3の予告映像が現れますが、これで本作の本質が理解できました。
即ち、本作そのものがPart3の予告のための作品だったということです。2時間強に及ぶ長大で饒舌な予告編、それが本作の本質でした。誠に観客を虚仮にしていると思わざるを得ません。

keithKH