「3DCGアニメの技術水準の高さとその独創性をこれ以上ないほど実感できる一作。」白蛇:縁起 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
3DCGアニメの技術水準の高さとその独創性をこれ以上ないほど実感できる一作。
『羅小黒戦記』(2019)を始めとした優れた作品が突如日本を席巻した中国アニメ。今回は3Dアニメの大作が登場です。中国の古典を題材とした物語を綴る映像は、予告編のインパクトそのままに、全編にわたって緩みがなく、恐るべき完成度を見せつけます。
ワーナー・ブラザーズが製作に関わっているにも関わらず、アニメの方向性は非常に独創的。監督のウォン・カホンとチャオ・ジーについては、恥ずかしながらこれまで意識してこなかったのですが、これは『ナタ転生』も観なければ!と強く感じました。
アクションシーンは非常に激しいけど、描き方がとても緻密かつ緩急の付け方が絶妙であるため、いわゆる画面酔いをする心配はありませんでした。本作とは全く関係ないけど、この作品が見せる独創的なアクションの多くは、かつての香港武侠映画やアン・リー監督が実写で実現したものも多いんですよね…。映像を観ながら改めてそうした先達の作品が成し遂げた仕事の偉大さを実感しました。
『羅小黒』と比較して少し年齢層の高い観客を想定しているのか、直接的な描写ではないもののちょっと親子で鑑賞すると気まずくなりそうな場面が一箇所だけ(レーティングがGであるにも関わらず)あるので、家族で鑑賞を予定している人はその点だけ留意しておくと良いと思います。またこれは偶然なのでしょうが、主人公二人の日本語での発音が「ハク」と「セン」と、『千と千尋の神隠し』(2001)の二人と同じな上、性別としては入れ替わっているため、『千と千尋』ファンはちょっと混乱するかも知れません。そんな些細なことを除けば文句の付けようもないほどの傑作です!