劇場公開日 2021年7月30日

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「エンタメでも覇権を目指す中国。」白蛇:縁起 レプリカントさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5エンタメでも覇権を目指す中国。

2021年8月1日
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鑑賞方法:映画館

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正直、今までフルCGアニメーションでこんなにも感銘を受けるほどの美しい作品を観たことがない。一体、製作費はいくらかけたのだろうか?もはやディズニー作品を圧倒的に凌駕しているそのクオリティー。髪の毛の一本一本から衣服の繊維一本一本まで、その質感の圧倒的な再現性、透き通るような人物の肌の美しさ、そしてそれにとどまらない背景の美しさ。これはもはや技術だけでなせる技ではない。芸術的なセンスが要求される領域だ。
どこをどう見ても現時点での世界最高峰のフルCGアニメーションと言っても過言ではない。最近鑑賞したディズニーの「ラーヤ」が霞んで見えたほどだ。
またストーリーも感情移入しやすいつくりになっていて、クライマックスの主人公二人の別れは「タイタニック」を彷彿させ、作り手の思惑通り思わず涙してしまった。

世界第二位の経済大国中国が国家的なプロジェクトに掲げ、国ぐるみでアニメ製作に力を入れてるだけのことはある。こんな覇権なら大いに大歓迎だ。
日本では薄給という冷遇に甘んじているアニメーターたちがいまや中国にひきぬかれて活躍している現状。人件費の安さから世界の工場と言われた中国はすでに遠い過去のものだ。日本は貴重な人材流失に見て見ぬふり。これではクールジャパンの今後も危うい。

予算を国からの支援で賄うため党の検閲というハードルはあるものの、中国の製作者たちには頑張って欲しい。「ロシャオヘイセンキ」同様本作も隠れたメッセージが読み取れる。国民の命を吸い上げ私利私欲に利用しようとする権力者を描いている点など。今後もいくらでも隠れたメッセージを込めることができるだろう。まさにこの点はクリエイターの腕の見せ所だ。中国共産党の検閲を潜り抜け隠れメッセージを込めた良作を今後も期待したい。

レプリカント