「吉永小百合さんに忖度し過ぎ」いのちの停車場 ヴィアンカさんの映画レビュー(感想・評価)
吉永小百合さんに忖度し過ぎ
どうして?と疑問の多い作品。底辺に流れている一生懸命な真摯さは分かりますが、色々キャスティングや演出に無理があり過ぎて物語が飲み込めなかった。
まず、今や30代元気な体育会系がメインの救急現場にこのお年の医者はいない。本当に50才に見えればまだ良いが、これはコントだよ!仮に沢口靖子でも鈍臭さが目について痛かっただろう。吉永小百合の場合、声が既に騙せず、低く年齢的に嗄れており、医療現場での動きも医者の冷静さや決断力は見られず、モタモタだった。
次いで会議室のシーン、明らかに彼女に気を遣っているのか、彼女が入室する際、15名程で机を囲んでいるのだが全員が国旗掲揚の如く吉永を見過ぎ。天皇か!
泉谷しげるさんがベットに横たわる妻とのシーンも吉永さんをメインに置くことに気遣い過ぎて、本来なら夫である泉谷しげるがもっと妻の近くに座り泣くところを、カメラ的に吉永がメインに座り、遠巻きに大きく離れて泉谷しげるが泣いているという不自然さ。
広瀬すず、桃李さんと小児患者家族とのシーンも同じ。ここまで来て、立たせたいタレントが多くてドラマの邪魔になっていると分かる。
小池栄子さんなんて最初と最後だけで、最後階段登っただけという端折り方。彼女の役は要らなかった。
あと、医者なのに色んな場面で広瀬すず他みんな情に脆すぎ、泣き過ぎ。50の医者が人が亡くなって抱き合って泣くか??
西田敏行さんも最後食堂で吉永役から話を聞くシーンで、「まさか○○死何て違うよね?」と素人の様なセリフ。現場何年やってるの?介護に疲れて殺すなんて想像できる世界なのに、まるで初めて聞いたかの様な設定。ガッカリでしょ。
もし吉永小百合の年齢の人をキャスティングするなら、、、年増のキレる女医(お払い箱)が診療所に出向かざるをえなくなり、そこで生死と出逢い、自分よがりな性格に気付き改めて行き…そこで診療所が立ち直される、とかか??
主役としての生き方はもとより命の大切さは全く見えないし、何の感情移入もできなかった。と言うのも、彼女が良い子の役しか演じないから、そのええかっこしいが邪魔をして、映画の本質を作れていない。と断言する。
そして、やはり皆様が言う様に「お父さん!」と呼ぶ人が夫にしか見えない。石田ゆり子との恋バナシーンなんかは痛い痛い。痛過ぎた。
どうして誰も止めないのか?
良いセリフやシーンもたまにあるだけに、その嘘がフィクションに収まり切れな過ぎている事は、考えて欲しい。大の大人が大勢で何を作ってるんだろうか。