劇場公開日 2021年5月21日

「命の仕舞い方」いのちの停車場 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5命の仕舞い方

2021年6月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

現代医療制度、延命治療、老老介護、尊厳死、積極的安楽死・・・。
在宅医療現場を通して、終末期医療の様々なケースについて問題提起してくれる本作。

ただ、患者一人一人のケースに対して、もっときっちりとオムニバス形式にしてくれた方が良かったようにも思う。
原作が章ごとに別のトピックについて書かれているとは知らなかったので、本作のみを観ていると、各トピックごとの登場人物が、その後もストーリーに関係してくるのかどうかわからなくて、なんとなくスッキリしなかった。

また、どちらかと言えば観客の情緒、情趣に訴えかける造りだが、医療における諸問題は法律や制度によって人々が不具合を被っている部分が非常に多い。その辺りについても観客への論理的レクチャーや解説を作品内に上手く挿入した方が、各トピックに描かれた「問題点」を深く理解出来て、鑑賞から得られる知見が増すだろう。

先に「痛くない死に方」を鑑賞済だったので、本作からもかなり深い情報を得られたが、もしそうでなかったら、理解はもっと浅くなってしまったと思う。

それにしても、吉永小百合さんは実に若々しく矍鑠としておられる。
言葉遣いが丁寧で品の良さが印象的だった。
昨今は「敬語は他人行儀で冷たい」「タメ口は親しみがあり暖かい」という認識が広く普及しているきらいがあるが、どうも「敬語」「丁寧語」を特別視し過ぎているように思う。
(尤も、国語教科書や参考書に「敬語」は「特別な言葉」と書かれているのだから嘆かわしいが)

幼少期、ウルトラマンや仮面ライダーを見ていると、登場する大人の女性は大抵「自然な」「ですます調」だったものだ。
決して「特別な言葉」などではなく、日常会話が「丁寧語」だったのだ。敬語は「暖かくて親しみのある美しい日本語である」という認識を、再び台頭させたいと思うのだが、夢物語だろうか。

子供の頃は小百合さんの魅力がわからず、サユリストなる人々がなぜあんなにも多くいるのかわからなかったが、
本作を見ると、いつか自分もあのように年齢を重ねたいと改めて思った。
古都 金沢の美しい風景の中で「生と死」について、想いを巡らせる2時間であった。

pipi
NOBUさんのコメント
2021年6月26日

今晩は。
 愉しき家人との二人飲みが終わり、やや酩酊気味のNOBUです。
 失礼しました。てっきり、金沢にいらっしゃるのかと・・。
 このコメントは直ぐに消えるので・・。
 個人情報ダダ洩れですが、私は高校時代はおバカばかりやっており、金沢大学を受験したのですが、見事に”日本海の波高し”で玉砕しました。
 私は相当な負けず嫌いなので、一浪して念願の大学に入学したのですが、息子がストレートで金沢大学の結構難しい学部に合格し連絡をくれたのですがバタバタしていて連絡に気付かず、娘曰く”お父さん、涙で崩れ落ちているんじゃない?”と、後から言われましたよ。
 僥倖ですが、息子の頑張りにより起きた”必然な”出来事でした。
 ホント、嬉しかったなあ・・。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年6月26日

おはようございます。
 ”古都 金沢の美しい風景の中で・・”
 え!、金沢にいらっしゃるのですか!良いなあ・・。
 金沢と言えば、このサイトに君臨する方の支配地ですよ!
 あと、私の息子も・・。

NOBU
kossyさんのコメント
2021年6月26日

サユリストではないkossyです。
多分10年早く生まれてたらサユリストになったであろうkossyです。
原作読んでから映画を観たのですが、やっぱり鑑賞中に脳内原作変換してしまうというか、映画本来の評価ができなくなるな~なんて思いました。
原作そのものも金沢の情景などが描かれてますので、金沢を知ってる人が読むとわかりやすいのかもしれません。
で、同じく『痛くない死に方』のほうが良かったです。

kossy