「咲和子先生、患者さんをあまり増やさないで」いのちの停車場 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
咲和子先生、患者さんをあまり増やさないで
城北大学病院の救急科責任者の白石咲和子先生は潔い先生だ。院長役の西村まさ彦にはこの際悪役を一手に引き受けて貰うしかない。上昇指向が強いだけで、保身のことしか頭にない奴はうじゃうじゃいる。医療の現場も例外ではない。だが、それだけに腹が立つ!羊の皮を被った悪人をあぶり出す方法はないものか?善人ほど都落ちしていく現実はよく聞く話し。老親のそばで西田敏行が院長の在宅医療医院での第二の人生を選択した咲和子先生。そこはこの世で傷ついた人々が生きて行くオアシスでもあった。医師国家試験に3度失敗し、その道を諦め、事務員として就職した野呂聖二。大規模トンネル事故でごったがえす救急室。病院の前で交通事故に合った子供を抱えて入って来た。確かに事務員が医療行為をするのは法律違反だが、彼には実習などで得た知識があり、一人の人間としての葛藤もあったはずだ。中古でも1000万で売れるベンツ(思わず札束数えた)で、金沢に来て、土下座しての直談判!仙川院長(西田敏行)の心意気。この映画は人情を軽視する輩は観ないで頂きたい。吉永小百合が救急科の責任者という設定がもう浮き世離れしていること自体、頭のいい奴だったら、呑み込んでもの申せ!と言いたい。ああいう修羅場での責任者の実際の仕事は、救える見込みのない患者の蘇生を怒鳴りながら諦めさせ、人工呼吸器の有効活用を指示することなのだと思う。
松坂桃李の涙💧 対称的に泣かないすず。いいじゃないか。
ラーメン屋でのカットだけでも観る価値ある。実際、早逝した兄弟の子供を育てている人もいるだろう。すず、強い。この二人が夫婦になって、まほろば診療所をやっていく絵が見たかった。
泉谷しげると松金よね子のゴミ屋敷の夫婦。泉谷の何言ってるかわからない嗚咽の演技。おいらにはかなり響いた。
佐々木みゆちゃん。ACの図書館の聾唖の子役のコマーシャルが印象的なゆみちゃん。お終活 熟春! 人生百年時代の過ごしかたでは「おじいちゃん、不倫してたの?」
彼女は天才子役です.
松坂桃李が彼女をおぶって海に入る場面も泣けました。「バカ、先生じゃねーよ」
福井には先端医療センターが実在するようだ。さすが北前船で潤った北陸3県。伊勢谷友介のIT社長役の脊髄損傷の話しは咲和子先生の学生時代の同級生とのエピソードのためもあろう。仕事に忙殺されて恋愛どころではなかった真面目な彼女の半生を浮き上がらせる。
田中泯の父親役。小百合と同い年なのに親子に見える。石田ゆり子もアラフィフなのに、この二人は43歳と32歳くらいにしか見えない奇蹟。幸せとしか言いようがありません。
最後、重たい気持ちになりました。時間の経過が遅く感じてしまいました。
あぁ、あの薬は筋弛緩剤?塩化カリウム?
朝日を見て美しいと思う親子。小百合の涙で、終わってくれてよかった。個人的には大腿骨骨折して、リハビリ中に脳梗塞になったあとに、首つるシーンなんかなくても、父親の希望が何回も繰り返されたので、安楽死までテーマが及ばなくても、この映画は充分いい映画だと思えたので、後半15分余りは辛かったです。
みなみらんぼうの店、STATION。パオ。おいらは思いました。涙とともにパオを食べたことのない人に人生の味はわからないんだよ。みなみらんぼうの弾き語りにハモる西田敏行の声。良かったです。
ギバちゃんの厚労省官僚が無駄な医療費の高騰が国益に反することを考慮して、在宅医療を選択したことなどは理想論なんでしょうが、そういったメッセージもこの映画の潔さを強調していたと思います。現実はあらゆるコネを使ってでも助かりたいと画策すると思われますが、松坂桃李の背中をさすりながら、息子役をさせる咲和子先生。ブラレールの話し、泣ける。
夢千代日記での患者役が印象的な吉永小百合さんの初の医師役。
咲和子先生、患者さんをあまり増やさないで、心のこもった医療をお願いします。お身体、ご自愛くださいませ。
2時間、夢をみせていただき、ありがとうございました❤️
火曜日の最後の上映でしたが、観客はアタシより高齢の方ばかりでした。映画館のスタッフが来なかったので、重い扉をご高齢の皆さんが出るまで開けて押さえました。いい映画を見て、いいことして、気持ちに余裕が生まれました。ありがとうございました。
カール三世さん、コメントありがとうございます。
木津屋に泊まっただなんて何と羨ましい!
散策にもすぐ出かけられますもんね。あの裏の小路がSTATIONの店があるところ。旅館の前からは浅野川の中の橋が見えますね。
もう一度観てみないとわからないところがあって、白石家から見た川もその一つ。どう考えても橋の数が合わず、あれは金沢じゃないような気がします。