グリーン・ヘル
2017年製作/91分/スペイン
原題または英題:The Maus
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヤヨ・エレーロ
- 製作
- ヘスス・ウレド・ナダル
- 製作総指揮
- エルビラ・モラレス・サレス
- エンリケ・ロペス・ラビニュ
- 脚本
- ヤヨ・エレーロ
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アルマ・テルジク
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アウグスト・ビトゲンシュタイン
-
アレクサンドラ・セクサン
-
サニン・ミラビチ
2017年製作/91分/スペイン
原題または英題:The Maus
アルマ・テルジク
アウグスト・ビトゲンシュタイン
アレクサンドラ・セクサン
サニン・ミラビチ
ソフト販売時は同タイトルだが、2022年2月現在NETFLIXで「マウス〜終わらない戦禍〜」というタイトルで配信している。そして今回ディスカウントストアにて本作「グリーン・ヘル」を購入。 開始1分位で気付いた。「あれ?これ観たことあるぞ」と。DVDのパッケージの原題を見てみると、そこには「The Maus」。やられた! 超絶気に入った作品でもないのに二度も鑑賞したのは己の責任だが、まさかこんな事になるとは。よくDVDの裏面を見てみると、作品紹介の部分なども確かに「The Maus」そのものだ。 知らない監督、知らない俳優だとこうなるのか。 さて、本編についてだが、本作を鑑賞する前に、歴史のお勉強が必要。学生時代に「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」を何となく習った記憶がある人は本作の鑑賞に向いているだろう。ボスニア・ヘルツェゴビナとは、1990年代にユーゴスラビアから独立してできた国の事である。その際の数年間に渡り紛争が続き、それがボスニア・ヘルチェゴビナ紛争なる訳だ。 この国にはボシュニャク人、セルビア人、クロアチア人がおり、それぞれ宗教的な違いが存在する。 ボシュニャク人:イスラム教徒 セルビア人:東方正教会 クロアチア人:カトリック教徒 まずこの事実を把握していなければ、アジア人である我々には「??」の連続。 この紛争の停戦間際に「スレブレニツァの虐殺」という事件が起きたのだが、これはセルビア人によって、ボシュニャク人が大量虐殺された事件である。 本作は、その直後の出来事であり、(NETFLIXで鑑賞後に調べた)主人公の両親はそれで亡くなっている。だから主人公は最初から様子がおかしく、助けてくれたセルビア人にも不快感を示していたのだろう。主人公を乗せた恋人の車が故障し、彼の犬を含め森を歩くことになるのだが、ここでも主人公の拒否反応が出る。この森というのが、彼女の両親が行方知れずになった森だからだ。また、ここには洪水で流された地雷が沢山埋まっているのも理由の一つだ。 犬が地雷を踏んで瀕死の重傷を負うという展開から、主人公の妄想なのか、現実に起きていることなのか分からないシーンが多くなり、それが後半まで引っ張られる。助けてくれたセルビア人男性二人も主人公を犯した様なシーンもあるが、ここら辺は良く分からないのが正直な所である。終始この調子で最後の最後まで続き、本当にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に密接に関わる様な構成であった。原題にもなっている「マウス」は主人公が信仰している神様であり、のっぺらぼうの女性のような風貌である。主人公が祈りを捧げると彼女は助けに来てくれる様で、ピンチのときはここぞと言うばかりに登場する。なので、DVDのパッケージに「正体不明の怪物」と表記するのは失礼ではないかと思ってしまう。派手なパッケージとは程遠く、ボスニアの広大な森で展開される極めて静かな物語なのである。 派手なホラーを期待してしまうパッケージはいかがなものかと思いつつ、現実との境目のわからない構成と、戦争を経験した者だけが分かる苦しさ。この人類の歴史上には不遇極まりない黒い歴史が存在するのである。それを体感する一種の「教材」として、下調べをして鑑賞するとまた違った見方が出来るのであろう。
政治的内容を複雑に交差させトラウマによる妄想を織り成すように描き一見芸術風には仕上がっているものの肝心の事はおそらく観客には何一つ伝わらないであろう。この映画がおそらく舞台として設定した2000年の頃のボヘミアヘルツェゴビナの民族の衝突とボスニア・ヘルチェゴビナ。2000年くらいの設定。この舞台となっている地域に居住する民族の内ボシュニャク人には、イスラム教徒が多い。セルビア人は東方正教会信者が多い。クロアチア人はカトリック教徒が多い。東ヨーロッパ、バルカン半島に位置する三角形の土地で、1990年代にユーゴスラビアから独立してできた国が、ボスニア・ヘルチェゴビナである。その際、1992年から1995年にかけて内戦が続き、ボスニア・ヘルチェゴニナ紛争と呼ばれた。ボスニア・ヘルチェゴビナでは、小さい国の中に先のボシュニャク人、クロアチア人、セルビア人が民族ごとに分かれて暮らしている。特筆すべきは、紛争から停戦間際に「スレブレニツァの虐殺」という事件が起きたこと。セルビア人によって、推計8000人のボシュニャク人が虐殺された。)若い女性主人公・セルマは現在ドイツのベルリンに住んでいますが、ボスニア人です。イスラム教徒で彼氏はドイツ人でプロテスタント。妄想と現実のなかどうもセルマは死んで、新しい彼女も何かの事故で死ぬ。諸行無常が描かれてるようにも思う。解説無しでアジア人が理解するのは困難な話。