「題材は好みだけど」オールド・ガード テツさんの映画レビュー(感想・評価)
題材は好みだけど
悪くはないし、面白かったとは言えるんだけど…なんか物足りない
シャーリーズセロン主演のNetflixアクション映画。
幾年もの間、不死者として歴史の中に生きてきた彼ら(オールドガード)の活躍と危機を描く。
不死の彼らが何故命を懸けて傭兵として闘うのかが描かれない辺りにモヤモヤ。さらに、不死を活かしたような闘い方があんまり多くなく、あくまでも死なないだけでアクション映画として斬新とは言いきれない。
アクション描写はカットを割ったスピーディーなアクションであり、シャーリーズセロン演じるアンディの動きは華麗な部分が見えたりするし盛り上がりはするのだけれど物足りない。折角、変わった斧とか持ってるのにそこが活きることもないし…
前半ゆえに少し濁すが、彼の行動の理由がイマイチ分からないし、今までもそういうこと無かったのか?とも思う。
今回、初めてこの世界へと踏み込む、つまり視聴者目線のキャラとなるナイルの心の変わり具合も波がある上にドラマも不足気味。
アクションシーンに関しては、前述の通りスピーディーなカットが連続するのでじっくりアクションを見せるのが好みの人はダメかも。個人的にはクライマックスでのチームプレイみたいなのをもっと見たかったというのが正直。
アクションもストーリーも設定も面白いのだけれど何か物足りないと感じました。
細かい部分に目を瞑れば充分満足は出来ます(笑)
死んでいる彼らにアンディのモノローグ、ワクワクさせるオープニングだがその展開になるまで早すぎないか?
彼らが集まって→「仕事だ」→罠だ→撃たれてオープニングの場面でもうそこから彼らは追われる立場になってしまうので、幾年も闘って生きてきた割には隙まみれに見えてしまうのが残念。
こうなる前に一度彼らが優秀な活躍を見せるような場面を出したが良かったかなと個人的には思う。
じんわりと傷が治り、彼らが復活してからのアクションはスピーディーで見ごたえがあるものの、目新しさはないかな。
斧とか剣とかせっかくワクワクする武器を持ってるのに見せ場が少ないのよ…
その頃、若き女兵士ナイルが任務の最中命を落とすが、不死者として覚醒。彼らも夢を通じて彼女の覚醒を知る。ここに関しては"そういうもの"程度の扱いで、アンディはナイルを迎えに行くことに…この時点でナイルの存在は国とか色んなとこに漏れてると思うのだが違うのだろうか(敵は把握してなかったみたいだひ)ひょっとしたら続編とかが出来ればそこも出てくるのか?
自らの状況や突然現れたアンディに動揺するナイル、アンディを脅そうとするものの相手の方が何枚も上手で…飛行機での騙し討ちはクライマックスの伏線にもなり、二人の闘いのシーンも確かに見ごたえはある。
仲間たちと合流し、身の上話なんかしたりして、唐突な(今んとこ理由も不明な)夢でアンディの過去話を盛り込んだりしつつ、新たな展開へ
敵の急襲に対してのアンディ無双は見ごたえがあったしアクションシーンとしてもクールな仕上がりで満足するも、仲間が拉致された割には焦燥感も無く、ドラッグストアのエピソードなんかも唐突に見える(店員さんのセリフは良かったし、そのセリフがアンディの生き方とも重なる部分ではあるのは間違いないのだが)
不死に関する葛藤もまぁ想像の範囲だし、裏切り者に関しても露骨すぎて意外性は全く無い。動機も弱めだし、仲間を売ってまでする話とも思えない。
あとのキャラで言えば、同性カップルの距離感は良かったのだけれど、ナイルの感情の波がブレブレに見えたなと。
殺したくない、家族と過ごしたい→銃が空砲!?(ここの回想、いる?)→助けに行かなきゃでヘッドショットぶちかまし
…人殺しへの葛藤一瞬で消えたな。せめて一瞬でも逡巡してくれれば良かったのに。てか、動きキレキレやな。
などのツッコミ処はありつつもクライマックスで繰り広げられるチームプレイはグッと来るし、敵のCEOを倒すために不死であることを利用した飛び降りなんかは見ごたえのある展開とアクションでそこは良かったかなぁ…
ラストは裏切り者への罰と彼らの新たな旅立ち…そして続編への布石(笑)
不死者という面白い題材に幾年を生きてきた彼らの不死を活かしたアクション、彼らを巡る謎と新たなメンバーの加入、そして不死ゆえの葛藤や思い…様々な題材を盛り込んだ作品ではあるがどれもこれも踏み込み不足な印象。細かい事を気にしなければ普通に見れるが気になりだふとそこが気になってしまいそこが解決しない、スッキリしないまま終わるので個人的にはとにかく"なんか惜しい"作品に感じた。