「なんでまた裸に・・・」リスタートはただいまのあとで kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
なんでまた裸に・・・
本来ならギスギスした人間関係の東京を捨てて田舎の温かい家族を求めて家業を継ごうとしていたのに、父(甲本雅裕)に跡継ぎになることを否定され、仕方なく近所の藤井じい(蛍雪次郎)と養子・大和の農園へと手伝いに勤しむようになった狐塚光臣。序盤の展開は、“明るい農村”とか“働く青年”といったイメージだったのに、徐々にBL方向へと展開する。とは言ってもBL表現は大人しく、友情の延長線であるとも言える。
家を飛び出した時に「家具職人なんてなりたくない」と捨て台詞を吐いたため、父親の態度は冷たい。それでも住まわせてくれるんだから第三者の目から見れば温かい家庭に思える。それを表すかのようにBGMでは「ダニー・ボーイ」のメロディが流れていた。歌詞を調べてみると、季節の違いはあれ、山に囲まれた千曲市や別所線などが妙に情景を思い起こさせるものになっています。
『ぐらんぶる』(2020)とは全くタイプの違う青年を演ずる竜星涼。方言丸出しの純朴さと、施設で育ったために持つ“壁”も感じさせない優しさが感じられました。一方、故郷の良さを理解していない生意気とも思える古川雄輝が好対照となり、スーパーの店員佐野岳が2人を繋ぐよい味付けとなっていました。
リスタートとは古川雄輝だけではなく、竜星涼も彼と出会ってからけじめをつけ、自分を捨てた親の名前を知っておこうとすることだった。優しさに溢れ、男女ともに心癒されること間違いなし。ロケ地の八木沢駅も色んな映画に登場するが、ここでもピッタリの情景でした。
途中、回想シーンをいきなり出すのは早くないか?とか前半は惹かれるものがなかったけど、彼女に遭遇したとき、動揺する光臣のシーンが手振れカメラで見事に光臣の心情を捕えていたことにビックリ。ここでハートを掴まれました。また、気になったのが、スーパーのポスターにあった「千曲の娘」by奥澤しなの。新人演歌歌手みたいだが、検索しても出てこないぞ!