劇場公開日 2020年7月31日

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「異世界の色に染まる。」カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇 レントさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5異世界の色に染まる。

2024年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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無限に広がる宇宙の彼方には我々人類が想像だにできない異世界が存在するのだろう。それは想像できないほど美しい世界でもあれば、逆に想像もできないほど禍々しく恐ろしい世界かもしれない。あるいは美しくもあり恐ろしいものなのかもしれない。本作で描かれた色のように。
我々人類の概念では到底理解しえないような未知なる世界が存在していてもおかしくはない。そしてもしもその異世界の断片が隕石によってこの地球に持ち込まれたならどのような影響が及ぼされるのか。我々の世界はその異世界の色に染められてしまうのだろうか。

想像の限りを尽くして奇抜なアイディアと感性によって書かれたラブクラフトの怪奇小説を映画化した本作。異世界との接触、そこから生じる変化、人間が想像もできないようなおどろおどろしいラブクラフトの世界観を見事に描いた。

異常な事態に見舞われ徐々に理性を失ってゆくやたらとアルパカに固執した牧場主の父親をニコラス・ケイジが持ち前のキレ芸で見事に演じた。「蜂だあ、蜂はやめてくれえ」の「ウィッカーマン」での名演技(迷演技?)に匹敵する演技を今回も披露してくれている。まさに彼の面目躍如といったところ。

隕石の落下によりもたらされたものはなんだったのか。それは悪夢が色彩を帯びたような恐ろしい存在。もし悪夢に色があるならきっとこの隕石がもたらした色がそうなのではないだろうか。
遊星からの物体Xを思わせるグロテスクなクリーチャー造型など、80年代B級ホラー好きには楽しめる作品に仕上がっている。惜しむらくは今回の事態が収束したのではなく始まりに過ぎないという予感を与える結末にしてくれればなおよかった。

レント